読書

みんなで君が代を歌おう

日本の演劇界はいまだにバカ左翼が幅を利かせていてうんざりする。全共闘くずれなんかさっさとくたばれ。 そういうわけで、永井愛『歌わせたい男たち』(而立書房)。 この芝居は見てなくて、戯曲だけ読んだ。 都立高校の卒業式の日に、国歌斉唱をさせたい教…

一回でじゅうぶん

まず必要なのは、物事を論理的に考える能力である。 「あなたが不幸になったのは、先祖の供養が足りないからです」などという妄言にだまされるのは、論理的思考が足りないからである。議論に負けて悔しい思いをするのも、論理的思考が足りないからである。 …

右脳だとか潜在能力だとか言ってるやつはバカ

『文芸春秋』(2009年12月号)“花盛り「脳本」ブームの真贋・森健”より。 記事によれば、「三歳児神話(三歳までに脳の基本的能力は決まってしまう)」、「脳は10パーセントかしか使われていない」、「右脳人間、左脳人間」、「男脳、女脳」、「睡眠学習」…

太陽はどっちから出る?

森達也『世界を信じるためのメソッド』(理論社) 「あとがき」より。 僕の妻は小学校に入ったばかりの頃、テストで太陽は東西南北のうちどこから出てどこへ沈むかという問題を出されて、 「西から昇って東へ沈む」 と書いたそうだ。もちろんペケ。 納得でき…

二流の人

しりあがり寿『表現したい人のためのマンガ入門』(講談社新書)より。 でももうひとつボクが信じてることがあります。それは、一流の作家になるのは、そりゃー才能や運など、努力以外にもいろんなものが必要です。でも努力すれば誰でも二流の作家にはなれる…

中島らもと愉快な仲間たち

中島らもの妻・美代子さんが書いた『らも・中島らもとの三十五年』(集英社) 二人の出会いは、美代子さんが神戸山手女子短期大学生で19歳、らも氏は灘高校生で18歳、場所は三宮のジャズ喫茶。そこで、らも氏は彼女に一目ぼれをして、交際が始まる。 らも氏…

ぷち香山リカ症候群

香山リカというのは、そのふざけた芸名からして、何をやってもまじめに取り組んでいるような気がしないのだが、まじめに話しながらも腹の中ではへらへら笑って人を小馬鹿にしてそうな、あんな態度でよく精神科医がつとまるもんだ。いや、いまは立教大学教授…

政権選択の自由、あはは〜ん

いつもふしぎに思うんだけど、あの選挙運動というやつには、どれほどの効果があるのだろうか。 候補者とかその支援者が、頭を下げて回ってるけど、あんなもんいくら必死になってお願いしたってさ、実際に有権者がどの候補者に投票したかなんてわからないんだ…

金がないのは

西原理恵子がよく「金がないのは首がないのと同じ」という言葉を使ってるんだけど、ネットで調べると、もとは歌舞伎にあるセリフらしい。いやこれも近松の戯曲にはないらしいので、役者のアドリブとか。 しかしまあ、西原が歌舞伎を観ているわけもないので、…

有名人と無名人

竹中労『芸能人別帳』(ちくま文庫)の解説で、関川夏央が次のように書いている。 竹中労が現在の日本の芸能ジャーナリズムの原型をつくった。 戦前、世間は芸人を見くだしていた。見くだしつつ芸人の芸を愛していた。芸人の側には芸を誇る気持はあっても尊…

功なし名を遂げた人

三谷幸喜は『オケピ!』で、岸田國士戯曲賞を受賞している。その選評を読んでみたんだけど、これがなかなかひどい。 選考委員が7名いるのだが、『オケピ!』を推しているのが野田秀樹と別役実。 ほかの評者はネチネチと批判していて、太田省吾にいたっては…

上野千鶴子はものすごい

荒俣宏の『プロレタリア文学はものすごい』(平凡社新書)は、すでに絶滅したプロレタリア文学をSFやホラー、エロ小説として読み直していて、じつにおもしろい。 たとえば平林たい子の小説には、セックス、出産、生理、排便、はては痔の話まで、エログロと…

更年期作家

書店で『婦人公論』(2月22日号)を立ち読み。 村上由佳のインタビューがすごい。 私、たぶん、殺されても死なないくらい生命力が強いと思います。それくらい性欲が強いので(笑)。 <略> 男は性欲が強いと「絶倫」になるのに、女は「淫乱」と言われて、恥…

バカのための吉本隆明入門

客「吉本隆明がテレビに出ていたね」 主「見たよ。教育テレビの『吉本隆明 語る』というやつだね。埴谷雄高のETV特集の時にも出ていたな、その前は電波少年だ」 客「電波少年にも出ていたか」 主「海でおぼれて、回復した時に。*1海水浴恐怖症を克服させると…

経済評論家(笑)

森永卓郎というのは、なかなか憎めない人だとは思うが、 言ってることは、なんだかなあ、である。都市博は中止になったけれど、あの時に作られたグッズを買い集めておけば、どんなにくだらないものでも、数十年後にプレミアがついて、高額で売れるとか、 テ…

智に働けば角が立つ

内田樹の『知に働けば蔵が建つ』(文芸春秋)を読んでみました。内田氏の著作の多くは、ブログに発表した文章を集めたものらしいですが、ブログで読むならまだしも一冊の本として読むと、論旨の矛盾が気になります。「はじめに」で、 他者が絶対的に「わから…

君が代歌ってる場合じゃねえ

「戦争の悲劇を繰り返すな」ということを言う人がいるが、 革命の悲劇を繰り返すな、と言わないのはなぜだろうか。共産主義革命なんてものは戦争以上に人を殺し、世の中を混乱させ、あげくに革命後の社会は、軍事独裁、強制収容所、言論弾圧と、ろくなもんじ…

死刑廃止教

香西秀信『論より詭弁・反論理的思考のすすめ』に、こんな記述がある。香西氏は「人と論とは別ではない」という考えから、次のようなケースをあげる。まず、死刑廃止を主張した一本のテープを用意する。 そしてこれを無作為に分けた二組(AB)の聴衆に聞か…

さかもっちゃん

雑誌『サライ』(8月7日号)特集「坂本龍馬を旅する」龍馬の写真が表紙だったので、初めて読んでみたが、なんだか旅行のガイドブックという作り。坂本龍馬ゆかりの地の名産品やグルメ、観光スポットなどを紹介。おそらくタイアップ企画だろう、記事だか広告…

コラムニスト(笑)

新聞の投書欄というのは、つまらない。 その理由を、永江朗は『<不良>のための文章術』において、次のように書いている。 新聞の読者投書欄によくある「ゴミを捨てるのはよくない」とか「電車では老人には席を譲ろう」といった文章は、わが新聞は「こうい…

育ちがちがう

向田邦子『父の詫び状』(文春文庫)より。 七、八年前の年の暮れのことだが、関西育ちの友人が伊勢海老の高値に腹を立て、産地からまとめて買って分けてあげると言い出したことがあった。 押し詰まって到着した伊勢海老の籠を玄関脇の廊下に置いたところ、…

遺族の品格

テレビCMで知ったのだが、『七人の侍』がパチンコ台になっている。著作権が切れる前に、稼げるだけ稼がねば、てか。 あの巨匠の息子は、NHKの大河ドラマ「武蔵」を、映画「七人の侍」の盗作だとして訴えたことがあったけど、ようするに、金払えって、こ…

豊かさという罪

読売新聞に、辻井喬(堤清二)氏が、『叙情と闘争・堤清二回顧録』を連載している。これが、わりにおもしろい。辻井氏の父親は、西武グループの創業者・堤康次郎。大企業の御曹司でありながら、辻井氏は東大入学後、共産党に入党、積極的な活動を行う。(そ…

名編集者と消えた作家

幻冬舎の社長、見城徹氏がテレビ出演されているのを見た。 編集者としていくつものベストセラーを手がけた人らしい。 番組を見ていて、ふと思ったのだが、見城氏が、一からその才能を見出し、育てたあげた作家というのは、どれほどいるのだろうか。 五木寛之…

自殺はムダである

福沢諭吉は『学問のすゝめ』(第七編)において、 忠臣のために命を捨てたところで、「世に益することなし」と書いている。権助という小僧が、主人の使いに出て、一両の金を落として途方に暮れ、主人に申し訳がないというので、並木の枝にふんどしをかけて首…

内助の功と暴君

ETV特集「神聖喜劇ふたたび・作家・大西巨人の闘い」 録画してあったやつを見る。大西巨人は25年間にわたり小説『神聖喜劇』を書き続けてきた、というか、ほとんどこれしか書いてない作家であるが、それでどうやって生活していたのだろう。番組では奥さ…

村上w

村上春樹のような人気作家の本は、売れなくて絶版なんてこともないし、どれでも容易に入手できるだろうと思われがちだが、そうでもない。村上龍との対談集『ウォーク・ドント・ラン』(講談社) 川本三郎との共著『映画をめぐる冒険』(講談社)これがなぜか…

ソムリエ(笑)

永井均『マンガは哲学する』(講談社)やさしい文章で書かれているが、内容は濃い。 『のための哲学』を読んでない人には、わかりづらい記述もあるだろう。書評されているマンガは、どれも興味深いが、小林よしのり『戦争論』のような作品には、「哲学的態度…

偽善者だもの

永井均『倫理とはなにか』(哲学教科書シリーズ・産業図書)倫理学の教科書という体裁なんだけど、そこは永井均。 反倫理の思考を徹底しておこない、教条的な倫理学の教えを粉砕する。わかりやすく言えば、「自分さえよければいい」という反倫理的な考えでど…

虫歯、または自死

歯が、猛烈に痛み出して、七転八倒の苦しみ。バレンタインデーの呪いか。チョコレート怖い。おれの羊水も腐ったのか。しょせん男は、生理痛も出産の痛みもわかりませんが、これで、おれの中からなにかが産まれてきたら、「あたしが歯を痛めて産んだ子だから…