2011-01-01から1年間の記事一覧

無防備すぐる

市井昌秀監督の『無防備』を見る。不愉快な映画だった。二人の女が出てきて、一人は夫との仲が冷え切って不幸である。もう一人は出産間近で幸福である。こうした人物の描き方がどれもステレオタイプで、うんざりする。それで不幸な女は自殺しようとするのだ…

ヨコハマメリーの伝説は伝説

『ヨコハマメリー』というドキュメンタリー映画を見る。期待はずれだった。伝説の娼婦「ハマのメリーさん」本人に取材するのではなく、メリーさんに関わった人たちの思い出話がメインである。紋切り型の甘ったるいノスタルジーを見せられた。 メリーさんの生…

埼玉のラッパーとか

『SR サイタマノラッパー』がよかったんで、その続編『女子ラッパー☆傷だらけのライム』を見たんだけど、こっちはイマイチだった。その原因を考えてみるに、ちょっと作りすぎてコントみたいになってる。一作目は素人くささがいい味になってたのに、惜しいな…

焼きイモ作ったった

NHK教育テレビの『すイエんサー』で、「超カンタンにおうちでも焼きいもができちゃう」というのをやっていた。クシャと丸めたアルミホイルを広げ、さつまいもを包み、鉄製の鍋で30分焼くのだという。 バカも休み休み言え。おれが海原雄山なら、テレビを叩き…

生活から遠くはなれて

嘉村礒多について、小さく狭い世界しか持たないがゆえに確かなものに触れている、と柄谷行人が書いていて、そういう評価のしかたもあるのかと思った。 それで、伊勢田勝行の手作りアニメを見たとき、そのことを思い出した。この人は自分で描いたマンガを、自…

山田洋次はつらいよ

おれも近頃では丸くなって山田洋次の映画なんかも見るようになったのだが、寅さんだかなんだか、ああいう世界はどうにも、きもち悪くていけねえ。 切通理作『山田洋次の』(ちくま新書)を読んだ。 山田洋次が助監督時代に書いた『睡い』というシナリオが紹…

コメディ映画も見る

スクリューボール・コメディの傑作だという『ヒズ・ガール・フライデー』を見たけど、さっぱり笑えなかった。先にあらすじを読んで、死刑執行直前の殺人犯を取材する女性記者という設定で、どうやってコメディになるのか疑問だったんだけど、やっぱりこれは…

芸術のようなもの

秋山祐徳太子『泡沫桀人列伝』を読む。モダンアートはもはや何でもあり。しかしながら埋もれた芸術家がこんなにいるのか、とおどろかされた。内容は、松岡正剛の千夜千冊にくわしい。 http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0818.html まあバカなやつらであ…

全俺が吹いた

クロード・ガニオン監督の『Keiko』であるが、これは二十年ほど前にビデオで見て、あまりのつまらなさに途中で投げ出したのだった。それを今回あらためてDVDで見た。 京都で暮らす若い女が、映画館で痴漢にあうオープニングから、恩師を誘い出して処女を喪失…

乙羽さん乙

名作との誉れ高い新藤兼人監督の『裸の島』であるが、どうにもつまらなかった。あんな百姓はいない。 このところドキュメンタリーばかり見てきたせいか、すべての演技がうそ臭く、乙羽信子と殿山泰司が貧しい百姓のコスプレごっこをやっているようにしか見え…

ここは京都どす

映画『チャイナタウン』のラストであるが、まあ悲惨な事件が起こって主人公が呆然としている中、刑事が寄ってきて肩を抱き、「忘れろ、ここはチャイナタウンだ」と言うのである。しかし、このセリフはあんまりではあるまいか。 引ったくりにあったおばあさん…

おっさんは心配性

レンタル店でジャケ借りした『遊泳禁止区域 〜前田弘二作品集2』が、けっこうおもしろかった。てきとうに借りたDVDが当たりだったりすると、ずいぶん得した気になる。 最近の若手作家のものを見て思うのは、どれもマンガだなということである。こいつらどう…

プライドにとって賛美とは何か

たかがスポーツ選手の活躍を、我々はなぜあれほどまでに手放しで賛美できるのだろうか。猛練習によって甲子園に出場した高校生は地元の誇りであるが、方や、猛勉強によって東大に合格した高校生は、賞賛されるどころかその成功をねたまれ、存在を無視される…

きみはバレリーナ

フレデリック・ワイズマン監督の『パリ・オペラ座のすべて』を見る。 想田和弘監督が影響を受けたというドキュメンタリー映画の巨匠の作品であるが、やっぱ社会派の作品じゃないと、退屈だなあ。でも他のはDVDになってないから、見れないんだよなあ。 トロカ…

なぜか僕はドキュメンタリーを見る

想田和弘監督の『精神』を見る。前作の『選挙』がおもしろかったものだから手を出したのだが、やや期待外れ。精神科診療所の患者たちのドキュメンタリー。 精神病患者を見世物にしているという批判は当然あるだろうが、患者たちはみんなカメラで撮られること…

オーディオとか

学生の頃に、友人の家に遊びにいったら、そいつの家は金持ちだったから部屋には立派なオーディオセットがあった。うらやましくてしょうがなかったが、しかしレコードラックを見ると、どれもしょーもない流行歌ばかりで、ブタに真珠だと思った。 それ以来、ど…

科学とは何なんですか

ぶっちゃけ、カール・ポパーのいう反証可能性というのが、よくわからない。だれか、バカにもわかるように説明してくれないか。 「反証可能性を持つ仮説のみが科学的な仮説である」というのは、なんとなくわかる。わかったつもりで、科学とは仮説である、と考…

お山の大将の迷信

君塚良一『「踊る大捜査線」あの名台詞が書けたわけ』(朝日新書)に、こんな話がある。 萩本欽一は、「三つの運は同時に来ない」と考えている。三つの運とは、仕事・健康・家庭(恋人)。 「神様は、ぼくたちに平等に運を与えてくれる」。しかし、神様は一…

選挙とか

『選挙』というドキュメンタリー映画を見る。DVDのジャケット写真から、キワモノのバラエティかと思って敬遠していたのだが、見るとおもしろかった。 「世間的には、東大を出てるっていうのがいいんだってさ」という理由で、自民党の公認候補になった「切手…

忘れじのフロントホック

相米慎二の『ラブホテル』という映画を見ていたら、女優がフロントホックのブラジャーをつけていた。 フロントホックは思ったほど普及しなかった。何をわざわざ背中に手を回して、と思うのだが、女は利便性だけを求めているのではないという証かも知れぬ。 …

ビーチの妖精

八五郎「親分、てぇへんだ!」 平次「どうした、鳥越でも死んだか」 八五郎「まだ生きてます」 平次「徳光か」 八五郎「ちがいますって。ビーチバレーの浅尾美和が、ペアを解消したんです」 平次「そいつは目出てぇ」 八五郎「何を言うんです。西堀でもだめ…

ジャズのようなもの

マイク・モラスキー『戦後日本のジャズ文化』(青土社)を読む。 著者はアメリカ人。戦後の日本文化に通じていて、ジャズピアニストでもある。ジャズの原点はライブ演奏とコミュニケーションだ、という著者のジャズ観には、説得力がある。 ところが、戦後日…

紀伊国屋め

見たい映画があって、「おっ、DVDになってる」と一瞬よろこぶのであるが、販売元が紀伊国屋書店となっていると、がっかりである。ここが出しているDVDは、レンタルしていない。定価である。そんな金はない。 それで紀伊国屋書店のDVD売り場に行くと、見たい…

おっさんの妄想

『息もできない』という映画を、『竜二』あたりと並べて絶賛している評を読んでいやな予感がしていたのだが、やっぱりつまらぬ素人映画だった。ヤクザと女子高生の純愛などというのは、おっさんの妄想である。 北野武の映画もそうだが、ヤクザは人間の屑であ…

舞台女優とか

大竹しのぶは、くだらぬバラエティ番組によく出ているが、舞台の出演料だけでは食えないのだろうか。ほかにも舞台でいい芝居をしている役者が、テレビでバカをやっているが、ああいうのは八百屋のおばさんにも名を知られたいという芸能人の欲であろうか。 大…

隠れキャラのような

映画『現代やくざ 人斬り与太』(1972年)は、冒頭に銭湯での乱闘シーンがある。この時、菅原文太に斬られる刺青を背負ったおっさんのチンコがはっきり映っている。DVDのコマ送りで確認したから、たしかだ。 映倫も、見逃しがあるのか。はたまた、特典映像か…

演歌という発明

輪島裕介『創られた「日本の心」神話』(光文社新書)を読む。 「演歌は日本の心」などと言うが、「演歌」が生まれたのは1960年代後半であり、たかだか40年程度の歴史しかない。演歌は、いかにして「日本独自の国民的」ジャンルとなったのか。著者はそれを膨…

現代音楽なら手をたたこう

熊さん「ちょいとお尋ねしますがね、現代音楽ってのは、なんですか?」 ご隠居「なんだね、やぶからぼうに」 熊さん「うちのカカアが、言うんでさあ。おまえさん、Jポップばかり聴いてないで、たまには現代音楽でも聴いたらどう?って」 ご隠居「インテリの…

夢の高速バス

高速バスで、旅行をした。 どうも様子が変だった。バス停には、女子ばかりである。 やがて、バスが三台も連なって来た。乗り込むと、やはり女子ばかりなのである。 まわりの会話から、理由がわかった。行き先で、ジャニーズのコンサートがあるのだ。この娘ら…

タイトル変えたった

ブログのタイトルを変えた。べつに深い意味はない。これまでに何度も変えてきた。 「アンドロイドの片腕」は気に入っていたのだが、アンドロイド携帯のおかげで、その検索で訪問する人が増えて、アクセスが増える分にはいいのだが、なんか、うざいのでタイト…