坂の上のバカ

NHKのドラマ『坂の上の雲』を録画して、暇なときにちょっとずつ見てんだけど、まあ、いかにも司馬遼だなあと思うのは、主人公のバカなエピソードがいっぱい出てくるところだ。
司馬遼太郎はその小説で、歴史上の英雄を多く書いているんだけど、のちに歴史を動かすようになる大人物でも、子供の頃はバカでマヌケだった、というようなことがいっぱい書いてある。
それで読者は、「まさかこんなバカが幕末の英雄に」とか、「学校では立派な人と教わったけど、じつはバカだったのか」などとおどろき、人生というのはわからぬものであるなあ、よし俺も! などという気になるのであろう。
司馬遼太郎の人気というのは、じつはそういうところにあるのだと思う。
しかし当然のことながら、誰もが秋山兄弟のようになれるわけではない。
たいていのバカは、バカのまま死ぬのである。