株式会社GENAU(ゲナウ)とは何か?

 電子書籍『毒ガス攻撃とバックドロップ――小山田圭吾で文藝春秋は二度死ぬ』の中から、「株式会社GENAU(ゲナウ)とは何か」を公開します。興味を持たれた方は、是非一読してみてください。また、追加取材もやってますので、事情をご存じの方のタレコミも歓迎します。

株式会社GENAU(ゲナウ)とは何か?

 中原一歩が株式会社GENAU(ゲナウ)という会社を経営していることは、これまで何度も言及してきた。
 そもそも株式会社GENAUとはどういう会社なのか。
 商業登記簿の目的欄には、「書籍、電子書籍及びウェブコンテンツの企画、編集、執筆、制作、出版、販売および配信」などと記載されている。

「株式会社GENAU(ゲナウ)」

 2018年1月29日に「合同会社GENAU」として設立された。2020年4月8日に、東京都渋谷区恵比寿3丁目に所在地が変更されており、2021年4月1日に、株式会社への組織変更が行われている。
 中原一歩が、本名の中原大弐名義で代表取締役を務める。取締役は映像作家の石崎俊一である。
 設立時は「合同会社GENAU」だったわけだが、代表社員は中原大弐、業務執行社員として石崎俊一、そして「哲学女子」として活動している田代伶奈の名前がある。
 合同会社とは、出資者と経営者がイコールで、出資したすべての社員に会社の決定権がある。したがって石崎俊一と田代伶奈は、たんなる従業員だったというのではなく、中原大弐と同じく、出資して経営にも関わっていたということだ。
neutmagazine.com

「株式会社FRAGEN(フラーゲン)」

 田代伶奈は、2020年10月31日に合同会社GENAUを退社。2020年11月2日に、「株式会社FRAGEN(フラーゲン)」を設立している。その本店所在地は渋谷区恵比寿3丁目で、「株式会社GENAU(ゲナウ)」と同じ住所である。
 2022年1月に立憲民主党からCLPへの資金提供が発覚後、所在地を恵比寿2丁目に変更している。GENAUというのはドイツ語の会話でよく使われるフレーズで、「たしかに。その通り」といった意味である。FRAGENも同じくドイツ語で「たずねる」という意味である。
 田代伶奈のプロフィールによれば、ベルリン生まれ東京育ち。上智大学哲学研究科博士前期課程修了。研究テーマは、倫理学、ドイツ実存哲学。
(自由大学/田代伶奈 キュレーター)
freedom-univ.com


 したがって、GENAUの名付け親は田代伶奈だろう。
 なお、シールズの支援者で政治団体「市民連合」の中心人物である中野晃一と、その妻で、NPO法人「ウィメンズアクションネットワーク」(理事長:上野千鶴子)の理事である三浦まりは、ともに上智大学教授である。

「合同会社サンライズ」

 田代伶奈が代表社員として、令和4年3月に設立した。資本金は30万円で、これは株式会社FRAGENと同額である。また両社は、本店所在地も事業目的も同じである。「アーティスト、タレントのマネジメントおよびプロモート業務」「国内外における各種音楽公演・イベントの企画、制作、興業、仲介斡旋業務」などを業務目的としている。
 資本金30万円で従業員2名のこの会社に、立憲民主党は令和4年度と令和5年度に、広報業務委託費として約8千10万円を支払っている。
同じく、令和5年度の収支報告書によれば、辻元清美の参議院比例区第20総支部から15万4千円。有田芳生後援会から約250万円、福山哲郎議員の京都府参議院選挙区第1総支部から約40万円が、この合同会社サンライズに支払われている。
 田代伶奈は政治家と太いパイプを持つ、ずいぶんヤリ手の経営者のようである。
(総務省「政治資金収支報告書 令和4年11月25日公表(令和3年分 定期公表))
www.soumu.go.jp
(総務省「政治資金収支報告書 令和5年11月24日公表(令和4年分 定期公表))
www.soumu.go.jp
(三稔尚平 @naohei_mitsu 2024年11月27日午後9:26)
https://x.com/naohei_mitsu/status/1861748351362089040
(三稔尚平 @naohei_mitsu 2024年12月16日午前6:46)
https://x.com/naohei_mitsu/status/1868412275306192977

「株式会社CLP(Choose Life Project)」

 代表取締役は佐治洋で、取締役は工藤剛史。本店所在地は恵比寿2丁目で、田代伶奈の「株式会社FRAGEN(フラーゲン)」とわずか2キロほどしか離れていない。
 代表取締役の佐治洋の住所と、「株式会社GENAU」代表取締役の中原大弐の住所は同じである。これもCLP問題の発覚後、二人そろって住所を変更している。

「一般社団法人 GO VOTE JAPAN」

 田代伶奈が発起人の団体である。特定の政党や主義主張にかかわらず、広く投票行動を呼びかけ、投票率を上げることを目標に掲げている。所在地は渋谷区桜丘町。
 代表理事は、元・博報堂の牧野圭太と、クリエイティブディレクターの辻愛沙子である。
 ホームページの概要欄には、次のとおり書かれている。

〈プロジェクト概要〉
 GO VOTE JAPANは、特定の政党を応援したり、主義主張を押し付けたりする団体ではありません。あくまで、中立の立場で「選挙に行こう」というスローガンのもと投票行動を促し、年齢、性別、地域、業種、信条に関わらず、みなさん声を横断的に取り扱い、多様な意見を尊重します。

govote.jp


 しかしながら、辻愛沙子と田代伶奈は2024年の東京都知事選で蓮舫の支持を表明していた。
 また、現在は削除されているが、この団体が制作した「#わたしが選挙にいく理由」という動画の出演者は、ラサール石井や長野智子という、どう見ても「中立な立場」とは思えないタレントばかりに偏っていた。
 さらに、政治資金収支報告書によれば、立憲民主党は平成29年以降、博報堂に10億円超ものカネを流している。「あくまで、中立の立場で」立憲民主党に投票しようと呼びかける団体なのかも知れない。

 これは余談であるが、宇川直宏が代表取締役を務める「DOMMUNE株式会社」の本店所在地は渋谷PARCOである。旧商号は「株式会社マムンダッドプロダクションズ」という。
 日本共産党は、かつて「代々木派」「代々木系」などと呼ばれていた。
 党本部の最寄り駅が代々木駅だからだ。立憲民主党の党本部は渋谷とは関係ないが、なぜか息のかかった会社が渋谷に集まっている。
 音楽だけでなく、活動家にも「渋谷系」がいるようだ。