犯罪者を許してはならない

 NHK「逆転人生 ネット中傷・絶望からの生還 スマホで心病んだ女性の逆転劇」という番組を見た。
 カンニング竹山が、次のようにコメントしていた。

 人間が人間を裁いちゃいけないんですよ。誰も人を裁く権利はないんですよ。でも 人がいっぱい多く住んでるから裁判というものがあり、裁判官という人を作り、そこにはちゃんと国家試験があり。そこを間違ってる人がすごく多すぎるっていうことだと思いますよね。

 どこで勉強したのか知らないが、これは法治国家の原則として正しい。法治国家においては、被害者が直接犯人に復讐することは許されない。貸した金を返してもらうのでさえ、国家が定めた法の手続きによらなければならない。
 日本国憲法第13条は、私刑を禁じている。いわば個人の復讐する権利を国家が取り上げているわけであるが、その是非はとりあえず措こう。
 番組では、ネットで誹謗中傷を受けて仕事を失い、自殺未遂をするまで追い詰められた末に、天台宗僧侶となった高橋美清さんを取り上げていた。高橋さんを誹謗中傷していた投稿者は、やがて警察に逮捕された。ところが、高橋さんはおそらく仏教の慈悲の心から、この犯罪者を許すのである。告訴を取り下げ、示談に応じるのである。
 だがしかし、これは自分が裁判官となって、無罪を言い渡すことに等しい。犯罪者は司法機関によって裁かれるべきである。被害者が許せば無罪放免というのでは、何のための法律か。
 法律ではなく、仏法で人が裁かれるのでは、中世に逆戻りである。カンニング竹山はここでこそ「人間が人間を裁いちゃいけないんですよ」と言うべきであった。
 山里亮太は、「テラスハウス」に出演していて自殺した木村花さんに触れて、次のようにコメントしていた。

 僕は自分が関わっている番組で、誹謗中傷というもので苦しんだ人がいる現場にいて、自分がそこでどう立ち振る舞うべきだったのかということを考える時があったし、今も考えているんです。
 これって本当に何をすることが正しいのか、自分がその時、できることがなかったのかとずっと考えるんですけど、全然答えにたどり着けていない。
 ただ、その時あったこと、その時、苦しい思いをしてつらい選択を取ってしまった人のことをちゃんと覚えていることでしか、今はこのことに向き合うことができてないんです。

 木村花さんを誹謗中傷した者は、全員が裁かれるべきである。それが「法の下の平等」である。他人の権利を侵害した者はその損害を賠償する責任を負う、というのが法治国家ではないのか。 
 山里亮太が「花が鼻につく」と、木村花さんを誹謗中傷したことについて罪の意識があるのなら、木村花さんの遺族に賠償金を払うくらいのことはすべきであろう。

hughug55.com
www.sponichi.co.jp

koritsumuen.hatenablog.com
koritsumuen.hatenablog.com