吉田豪さんの才能

もう何年も前から吉田豪さんって、すごいなあ、と敬服しております。

まあ、おれが立ち読みする雑誌のほとんどに吉田豪さんの連載があって、それがまた全部おもしろい。

ネットでも検索するといろいろ出てきて、時間を忘れて、読みふけることもしばしば。

たとえば、三池崇史監督の『IZO』で主役をやった中山一也という俳優がいて、どこかで見覚えのある名前だと思ったら、高橋三千綱をナイフで刺し、倉本聰の自宅で割腹自殺を図り、さらには「俺が報われないのは日本の映画界が悪い!」とばかりに、築地の松竹に車で突っ込んだ過去を持つという人でした。

こんな人物から、「これから死ぬまで吉田氏と長い付き合いを…」などと言われる、吉田豪さんには同情しつつ、やっぱりすごいよなあ、と思うのでした。

そういえば、中山一也が主演した映画『連続殺人鬼・冷血』(二十三人強姦殺人の勝田清孝役)を、おれもビデオで見たことがあるなあ。

たしか、ダウンタウンの浜田の嫁で元オナッターズの小川菜摘が、中山一也に犯されていたはず。

こちらのインタビューでは、吉田豪さんの、貴重な経歴が語られておりまして。

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 高校を卒業し、1年のプータローを経て、東京デザイナー学院の編集デザイン科へと進む。
「高校で、バンドにかぶれた奴らが『俺はアメリカでビッグになる!』とか言ってるわけですよ。叶わない夢を見ちゃいけない。自分は確実にこなせることをと考えた時、音楽は語る側のほうが確実だと」
 そして、文章を少しずつ評価された彼は専門学校の卒業制作で、とんでもないものを作りあげる。
「学長の暴露本を作ったんですよ。掃除のおばちゃんとかに取材して。そしたら、『聞いてよー。私、あいつの愛人の家の掃除行かされたのよー』とか、教師に『実は地上げで一回捕まっててねぇ』とか聞くと、地上げの現場に行ったりとか、物凄い緻密な取材をして。面 白いのは、それまで毎年全員分の卒制が上野美術館で展示されてたのね。なのに、俺らの代から代表者だけになって。明らかにはじかれた! と(笑)。だから、勝手に置いてきたり、学園祭で販売したりしたんだけど」

綿密な取材と、理論武装。

こういう姿勢というのは、もう完全に学者やジャーナリストのそれで、日垣隆さんにも通じていますね。

永江朗さんが書いていたけど、もし吉田豪さんが芸能本関係ではなく政治ジャーナリズムの世界にいたら、この国の政治家は戦々恐々となっていたでしょうね。

いずれ、「大宅壮一ノンフィクション賞」を取るかも。

いや、大宅文庫に住んでもらいたい。