全俺が吹いた

 クロード・ガニオン監督の『Keiko』であるが、これは二十年ほど前にビデオで見て、あまりのつまらなさに途中で投げ出したのだった。それを今回あらためてDVDで見た。
 京都で暮らす若い女が、映画館で痴漢にあうオープニングから、恩師を誘い出して処女を喪失し、カメラマンの男と知り合って関係を結ぶが、相手に妻子がいることがわかって別れ、つぎに会社の同僚の男とデートをするも満たされない。
 などと書くとおもしろそうだが、このヒロインがぶさいくで、相手の男もダサいのばっかりで、しかもこれをドキュメンタリータッチで撮っているものだから、まあ華がなくて退屈。ドラマになりそうなとこをすべてカットして、どうでもいいような細部のみを積み重ねるという手法は、この当時には斬新なものだったろうが、理論先行の映画におもしろいものはない。
 それで今回もよほど見るのをやめようかと思ったのだが、ヒロインが会社の先輩の年増女とレズビアンの関係になるところから、調子が変わってくる。それで彼女はこのレズ女と同棲を始めるのだ。しかし、父親からお見合いをすすめられて、迷った末にレズ女と別れて、お見合いした男と結婚する。しかしこのあと、とんでもないラストが待ちかまえていた。
 この男の正体は、オープニングで登場した映画館の痴漢なのである。驚愕のラストに、コーヒー吹いた
 映画というものは、おしまいまで見てみるものである。

Keiko 【初DVD化】

Keiko 【初DVD化】