読ませていただきました

 文法的に正しかろうが、まちがっていようが、不愉快な言葉というのはある。
 おれはどうも「読ませていただきました」というのが苦手だ。
 TBS「王様のブランチ」で、書籍の情報コーナーに毎回作家が登場する。それで、若い女性リポーターがインタビューに行くのだが、「今度の新刊、読ませていただきました」と言うのだ。
 司会者も、話題の本を紹介する際に、「この本、さっそく読ませていただいたんですけど」などと言う。
 この言い方が、じつにこの、作家に媚を売っているようで、不愉快である。
 本なんてさほど高くもないし、金さえ払えば誰でも読める。なんでわざわざ「読ませていただく」のか。勝手に読めばいいではないか。
 吉野家の牛丼やマクドナルドのハンバーガーを「食べさせていただきました」とは言わない。高級料亭なんかだと、「おいしいお料理を、食べさせていただきました」と言うのかもしれない。このちがいは何であろうか。
 ブログなんてのも、勝手に書いてタダで公開しているわけで、勝手に読め、である。