へろ

招待券をもらったので、映画『HERO』見てきました。

事件の設定はよかったですね。アリバイ崩しと、政界汚職と、法廷ドラマがリンクしていて。でもやっぱ長いですね。2時間超えの映画は、それだけでマイナスポイント。

この手の映画は、ジャンクフードに似てますね。おいしい、と感じさせるその味は、マヨネーズと化学調味料で舌が刺激されただけだったりする。

韓国ロケは、イ・ビョンホンを出演させるために、とってつけたんだろうけど、韓国まで運ばれて、海に沈められた車から、車体底のすり傷を発見し、立証することができるか。

さらに麻薬犯人がUSBメモリを松たか子のバッグに入れて逃走するのだが、そのメモリは一体何のデータだったのか、結局どうなったのか、最後まで説明がなかった。

中井貴一が、いい人で出てくるのもおかしい。テレビ特番を見たばかりだから覚えてるけど、中井貴一(鴨井産業・元専務)は、人を殺してんねんで!

キムタクは法廷で「人の命の重さ」を語りながら、傷害致死犯の金髪青年を厳しく追及するのに、なぜ、殺人犯である中井貴一には親切にするのか。これでは、倫理のバランスが崩れる。

まあ、「検事さんはみんな、 正義感あふれるかっこいい人ばかりだったらいいなあ」という庶民の願望をかなえる、現代のおとぎ話みたいな映画だから、こんなものでしょう。実際の検事が、やじうま800人からの聞き込み捜査なんか、やるはずないじゃない。

最近のヒットした邦画には、どれも伊丹十三の影響を感じるんですけどね。伊丹監督の映画というのは、誰にでもわかるように間口は広くして、そこに玄人受けするネタを入れて、にやりとさせるような持ち味があったわけですが、最近の「社会派コメディ」は、たんに素人向けにわかりやすく絵解きしただけ。

かつて伊丹映画を酷評していた批評家が、この手の映画にはコロッと甘い評を書くのは、どういうわけか。生きている間は批判して、死んだらパクるという映画人も、どうか。

だが、ちょっと待ってほしい。
「チョングッチャン」という食べ物は、山口名産「あごま」と同じく架空だろと思う人もいようが、ちゃんと存在する韓国料理である。

あと、タモリは、タモリだった。