殺人観光ツアー

今村昌平の『復讐するは我にあり』をDVDで見たんだけど、これの付録映像に、なんか観光ガイド風のビデオが収録されていた。
若い女性レポーターが案内役となって、「この旅館で、映画の撮影が行われました」なんて紹介するのね。映画のロケ地や、作品の舞台となった場所などをめぐっていくわけ。
まあ普通の映画なら、そういう場所が観光スポットになるのもわかるんだけど、この映画は実際にあった連続殺人事件に取材した佐木隆三のノンフィクションが原作でしょ。
それでリアリズムを追求する今村昌平は、実際の殺人現場で、ロケしたんだよ。
殺人犯を緒形拳が演じているんだけど、彼が人を殺す場面は、実際に被害者が殺された場所で、犯人がやったのと同じ方法で殺して、撮ってるんだ。いや、映画だから本当には殺してないけど。
まあそういう映画だから、ロケに使われた地元も困惑してるのではなかろうか。


ついでに、映画『ええじゃないか』も見たんだけど、「ええじゃないか」と踊り狂う娼婦たちが、幕府の役人と衝突して、そこで横一列に並んで着物の尻をまくって小便をするシーンがある。
これは撮影時に、桃井かおりと田中裕子の対立があったとかというゴシップを記憶してるのだが、それはさておき、画面手前で腰をかがめて小便をする女優の、小便の出方がどうも、ひざのあたりから出ていて、本当に小便をしているわけではなく、ホースかなんかを使って水を出しているのがバレバレで、これは今村昌平らしくない演出だなと思った。


それでちょっと昔読んだゴシップを思い出したんだけど、当時、桃井かおりの若手女優いじめがひどかったらしく、田中裕子と烏丸せつこが楽屋で反発して、
桃井かおりの時代は終わったのよ」
と、桃井本人を前にして言ったという話があるんだが、まあ事の真偽はともかく、しかし、桃井かおりの時代は、終わらなかったんだよなあ。


ええじゃないか [DVD]

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