湯川れい子はマイケル・ジャクソンに二度インタビューしている。最初は1973年、まだ「ジャクソン・ファイブ」の頃。そして二度目が1983年3月、マイケルは23歳。
その時のことを湯川れい子は、読売新聞の「時代の証言者」という連載記事(第21回)で、次のように述べている。
忘れられない会話があります。アルバム「トライアンフ」の中にある「ハートブレイク・ホテル」について、「エルビス・プレスリーのファンにとって、彼の代表曲のタイトルは神聖な存在なのに、なぜ同じ題名の曲を作ったの?」と、うっかり聞いてしまったのです。マイケルはキッとした目で私をにらみ、「神聖でもなんでもない。エルビスは、僕たち黒人の音楽を盗んで有名になったんだ」と言い切ったのです。
私は食い下がりました。エルビスが社会からバッシングを受けながらも、黒人の音楽を自分の中に取り入れてロックンロールとして爆発させた土台があったからこそ、白人社会でも黒人音楽への理解が進んだのではないか、と。それに対してマイケルは、私の目をじっと見据えながら、こう問いかけてきました。「僕たちは何も変っていません。黒人のスーパーマンはいますか? 黒い肌のピーターパンはいますか?」
(引用終わり)
しかしながらその後、マイケルはエルビスの娘と結婚した。そして肌が白くなったことから整形によって白人になろうとしているのではないかと噂されたが、のちに尋常性白斑という病気のせいだと判明した。マイケルは黒人であることに誇りを持っていた。その肌が白くなることに、どれほど精神的に苦しめられたか。
スターになりスキャンダルにさらされ、マイケルはマスコミに何も語らなくなった。
もしも人種差別撤廃の訴えを続けていれば、キング牧師のようになったかもしれない。でもキング・オブ・ポップだ。誰がうまいこと言えと。
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