沢田太陽には差別と社会問題に対する理解がない

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沢田太陽の「METAFIVEアルバム発売中止に伴い、もう一度冷静に考えて欲しいこと」を読んで、冷静に考えてみました。

 その結論は、沢田太陽には差別と社会問題に対する理解がない、ということです。
 沢田太陽は、殺人や連続強姦という刑法犯と比べれば、小山田圭吾の罪は軽いと述べています。またこの騒動を、「ポリコレ炎上案件」と呼んでいます。

 こうした考えこそ問題を矮小化し、歪曲するものです。問題の本質は、小山田圭吾と出版社は障害者イジメを「売り物」にしてビジネス展開した、ことです。
 障害者を当人の同意なくポルノに出演させ、それを販売したようなものです。
 このことは議論の余地なく、人権侵害です。
 こんな当然のことをまだわかっていない人が多いので、何度でも繰り返します。

 伊東乾氏は、小山田の「メディア営業」はナチス関係事犯のように、国際基準においても許されないと断じています。
news.biglobe.ne.jp

 沢田太陽は、「『クイックジャパン』95年3号の実物の原文すべてを読んでから、小山田問題の判断をお願いしたい」という記事も書いています。記事の全文を無断で掲載しているブログにリンクを張って、これを読め、と出版関係者が著作権違反を推奨することの是非は、とりあえず問いません。
 原文を読め、という人に対して私は、元の雑誌そのものを見ろと書きました。表紙やグラビア、イラスト、脚注、レイアウト含めた編集技術によって、鬼畜かつ露悪趣味が表現されており、それはテキストだけでは伝わらない性質のものだからです。

 サンパウロ在住という沢田太陽には、それは難しいのかもしれませんが、小山田が「月刊カドカワ」(1991年9月号)で障害者を「知恵遅れ」と呼んでいたことや、「月刊ギグス」(1996年2月号)で癌の末期患者を笑いものにしていたというニュース記事は、ネットで読むことができます。元記事を読んで見方が変わるほどの沢田太陽なら、このニュースを知ればまた見方が変わるでしょう。

「週刊女性」や「女性自身」の配信記事を読んでいる沢田太陽が、これらのニュースを知らないとは思いませんが、念のため。

 今のところ、「月刊カドカワ」のインタビュー記事が最も古く、小山田圭吾はフリッパーズ・ギターの頃からこうした発言をしており、「クイック・ジャパン」(1995年8月)の後でも、反省なく「月刊ギグス」で、癌の末期患者を嘲笑しています。
 商業誌において、「障害者を虐待できる俺ってかっこいい」というブランディングを幾度となく行ってきたわけです。

 沢田太陽はこれを、「ポリコレ炎上案件」と考えて、「報道として、なんてレベルが低いんだ」と嘆かれています。しかし、マスコミはこれを人権問題だと正確に判断し報道しています。マスコミ関係者の方こそ、沢田太陽の人権意識を「なんてレベルが低いんだ」とあきれていることでしょう。

 小山田圭吾は謝罪文で、「記事の内容につきましては、発売前の原稿確認ができなかったこともあり、事実と異なる内容も多く記載されております」と述べています。したがって、沢田太陽が「ロッキン・オン・ジャパン」や「クイック・ジャパン」の記事について行った考察は、夏休みの読書感想文みたいなもので、何の価値もありません。

価値があるのは、当事者による事実の検証です。

 小山田圭吾のインタビュー記事を掲載した「ロッキン・オン・ジャパン」も「クイック・ジャパン」も、全面的に非を認めて謝罪しています。そこには少しの弁解もありません。
 特に太田出版は元記事の掲載を謝罪したことに続き、「クイック・ジャパン」8月号の発売を中止し、再度お詫び文を発表しました。
Quick Japan 8月発売号 お休みのお知らせ - 太田出版

 Quick Japan編集部としましても、表現方法、記事の影響についての思慮そして配慮が足らないままに世に出たことにより、差別を助長し被害者の方をはじめ多くの方を傷つけたことを改めて深くお詫び申し上げます。
 編集部として今回の事態を真摯に受け止め、今後二度とこうしたことを繰り返さぬよう編集体制の見直しが必要と判断しまして、『Quick Japan vol.157』の8月の発売をお休みいたします。
 この期間に、編集部としてのチェック体系の強化を行うとともに、編集部員それぞれが差別と社会問題に対する理解を深めてまいります。

 2015年に太田出版は、神戸連続児童殺傷事件の元少年Aによる『絶歌』を出版し、多くの批判を浴びました。その時でさえ、このような全面的な非を認める謝罪文は公表しませんでした。

誰が何と言おうが、「村上清のいじめ紀行」についてはアウトだ、という判断で決着しています。

 沢田太陽に限らずいまだにこれがわかってない人たちは、太田出版の編集部員と一緒に、「差別と社会問題に対する理解」を深める研修を受けられたらどうか、と思います。

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