2012-01-01から1ヶ月間の記事一覧

ジャズもロックもクラシックである

森本恭生『西洋音楽論』を読む。音楽についての通説を根底から覆す本である。 フランス革命以前のヨーロッパ音楽は、ほんの一握りの貴族階級のためのものだった。そこでは、演奏方法などについて、楽譜には書かれない夥しい数の暗黙の了解事項(しきたり)が…

通販左翼

カタログハウス発行の「通販生活」のチラシが新聞に入つてゐた。どうせ左翼の機関紙だらうと思つてながめてゐたら面白い記事があつた。定期購読者には「濱野」の財布をプレゼントとある。その商品説明で、「皇室のご用命も受けた老舖ブランド」とある。 左翼…

アキラは今

そういえば、『AKIRA』以降の大友克洋って何をしていたのだろうか。まあ、『AKIRA』を描いただけでもじゅうぶんな功績はあるのだが、なんとも惜しまれる才能である。 手塚治虫が『ユリイカ』の「総特集・大友克洋」で、「あなたの真価が問われるのは、『AKIR…

久世塾(笑)

図書館で『久世塾』なる本を見つける。久世光彦が2000年にやっていたシナリオライター養成講座の講義録である。とはいえ久世の講義らしきものはなく、ゲスト講師の談話をまとめたものである。どれも雑誌のインタビュー記事程度の内容である。 授業料は約24万…

おまえは断捨離教の教祖か

近頃ネットを閲覧するたびに「断捨離」の広告を見るのだが、ありゃなんだ。おかしな宗教か。多額の広告費を使って、この主宰者はいったい何をやろうとしているのか。 いらないものを絶ち、いらないものを捨て、物への執着から離れる、というならその通り生き…

黒鳥を見たような気がする

評判の『ブラック・スワン』を見た。なかなかの出来である。バレリーナたちがじつに愛らしい。「白鳥の湖」の主役をめぐって、黒鳥は嫌がらせをして白鳥を苦しめるのだが、それにも可愛げがある。あの年ごろの女子は、何をしてもかわいいものだ。心が洗われ…

作務衣でろくろを回すバカ

おれはグルメに興味がないので、これまでにラーメン屋に行ったことが十回くらいしかない、と知人に話したらおどろかれたことがある。逆におれからすれば、なんでみんなそんなにラーメンなんかが好きなの? と思うわけだが。 速水健朗『ラーメンと愛国』を読…

キャンディーズのようなもの

キャンディーズの『あなたに夢中』のコーラスアレンジは素晴らしい。 それを思い出させてくれたのがバンディーズの動画である。なんだろう、このふしぎな魅力は。これが、おっさんホイホイか。 キャンディーズといえばミキちゃんである。異論は認める。www.y…

かしこい選択してると思うなよ

シーナ・アイエンガー『選択の科学』を読む。これも「白熱教室」の先生の本である。 心理学を基礎としているので眉唾なところも感じるが、選択をめぐるエピソード集としておもしろい。「第5講 選択は創られる」と「第7講 選択の代償」は、テレビ放送にはな…

見えてるけど見えない

「白熱教室」は、やはりアメリカの大学の方がおもしろい。日本は戦争に負けるはずだ。 スタンフォード大学のティナ・シーリグ先生の『20歳のときに知っておきたかったこと』を読んだのだが、そこに紹介されていた動画を見た。youtubeにあるTest Your Awarene…

ドキュンも一票である

熊本・阿蘇市の成人式で、佐藤義興市長が歌って踊っていたが、あれこそ民主主義である。この市長はバカなように見えて、民主主義の本質をよくわかっている。 ドキュンも成人すれば一票である。どんな手段であれ、票を集めた者が勝ちである。裸踊りで、のし上…

日教組の寸劇が面白すぎて

ようつべに「教育基本条例を寸劇で」という動画がある。この寸劇に、演劇の原点を見た。おそらく築地小劇場で上演されていたプロレタリア演劇というのは、このようなものであったろう。 『歌わせたい男たち』も『ソウル市民』も『僕たちの好きだった革命』も…

何してはるんですか

フジの「めちやイケSP」は、うつ病を患つた者に十キロのダイエットをさせるといふ、ひどい企画をやつてゐる。テレビ局は、岡村隆史を殺したいのか。あるいは本人も、もう死ぬ覚悟なのか。 かういふ低俗な笑ひで名を売つた藝人の末路と言へばそれまでだが。

誰が演歌を聴くのか

森田芳光が死んだけど、その61歳という年齢にみんな驚かなかっただろうか。そんな歳だったのかと思った。ジジイである。61歳といえば、まちがいなくジジイである。しかしあのみずみずしい映像感覚をうたわれた映画監督にしてジジイなのであるから、これは世…

紅白のユーミン

去年2ちゃんねるで「浜崎あゆみが京唄子化」というスレに笑ったけど、紅白のユーミンは「美空ひばり化」であった。むかし近田春夫がユーミンに、「美空ひばりの後を継げるのはあなたしかいない」ということを言ったら、露骨にいやな顔された、というエピソ…

きみは万古焼を見たか

私が万古焼きを知ったのは、NHK教育テレビの「新日曜美術館」である。展覧会をお知らせするコーナーがあった。そこで女性司会者が、万古焼きと言ったのである。 日曜の朝であった。さわやかな女性の声で、万古焼きである。 画面には、土鍋が映っていた。万古…