カルトもいろいろ、人生もいろいろ

 佐藤典雅『ドアの向こうのカルト-9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録』を読む。著者は、東京ガールズコレクションを手がけたプロデューサーで、副題の通りの内容である。エホバの証人というのは、輸血拒否事件で有名になったが、この世はサタンに支配されていると教え、オナニーも禁じ、娯楽も許さない、とても禁欲的な宗教である。著者は親から、ロックのカセットテープも捨てられたそうだ。
 本書によれば、マイケル・ジャクソンの母は信者であった。エホバの証人では、結婚も信者同士でしか許されず、子供も信者にさせられる。しかしマイケルは、アルバム「デンジャラス」の頃から、イスラム教徒になったらしいという噂が流れる。また次のようなことも書かれている。

日本で一番有名なのはたぶん、矢野顕子さんだろう。彼女とはニューヨークで同じ会衆だったが、日本から旅行者が来ると、みんな彼女の周りに群がった。彼女の家に泊まりにいくと、坂本龍一さんが家にいたりした。龍一さんは過去に聖書研究をしていたが、映画「ラストエンペラー」のサントラでアカデミー賞を受賞した頃から、勉強をやめてしまった。証人たちに言わせれば、「サタンがアカデミー賞を与えて邪魔して信仰から逸らせてしまった」という話になる。今思えば彼がとった行動はサタンの邪魔どころか至極当然である。
 またマンガ『クレヨンしんちゃん』の臼井儀人さんも途中からエホバの証人になった。マンガの描写が少し過激だったので信者の中では「それはデマではないか」という噂も流れたぐらいだ。だが、私は彼とも一緒に旅行をしたことがあるのでデマではないと保証する。ただ最後の方、彼はクリスチャンであることに大きな葛藤を感じている様子だった。自分の創作とクリスチャンの指針に摩擦が起きるとクリエーターは苦しむことになる。彼の登山事故の知らせを聞いたときは驚いた。
(P139より引用)

 矢野顕子が信者だというのは、昔『噂の真相』が書いていた。その娘は、坂本美雨である。先日、写真家レスリー・キーを擁護するコメントを出していた。
 この写真家はゲイで、無修正の男性ヌード写真集を販売した容疑で逮捕されたのだが、エホバの証人の教義からすればサタンによる大罪であるはずだが、それを擁護するということは、坂本美雨は信者ではないのだろうか。矢野顕子はそんな娘のことを、どう思っているのだろうか。
 もうひとつ言えば、東京ガールズコレクションという派手なイベントで購買意欲をあおり、バカ高いブランド服を娘たちに買わせるのは、カルトとどこがちがうのか。

ドアの向こうのカルト ---9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録

ドアの向こうのカルト ---9歳から35歳まで過ごしたエホバの証人の記録