バカの一つ覚え

手塚眞『ヴィジュアル時代の発想法』(集英社新書)を読む。

現代美術家ジャン・ミシェル・バスキアの伝記をもとに作られた『バスキア』という映画がある。
その中の一場面で、駆け出しのバスキアが友人に、美術界で成功する秘訣を教えてもらう。その友人いわく、
「同じタイプの作品を作り続けろ。ひと眼でその人とわかるように」
「もしそれで注目されたら、ずっと同じことをやり続けろ。たとえ嫌われようとも」

これについて、手塚眞は次のように書いている。

なるほど、商業的な美術界においては、一理あることかもしれません。
よく街を歩いていると、あまり興のわかない絵画を展示販売している光景に出会います。ぼくにほどうしてもそれらの絵が優れているとは思えないのですが、なぜか売れていて、作家は有名であったりします。
たしかに知名度とは、どれだけ目立ったか、どれだけそれが人の記憶に残ったかによると思います。一度では印象に残らなくても、何度も同じスタイルを見せられ続けていると、それは見慣れてきて、親しみを感じるものになるでしょう。人は見慣れているものに対しては、抵抗がなくなります。抵抗がないことを好意であると誤解します。かくして、それは知名度が上がるということです。知名度イコール人気ということになります。
手塚眞『ヴィジュアル時代の発想法』158ページ)


あー、そーだなー、日本の美術界にもそういうやついるなあ。
奈良美智とか、奈良美智とか。