椿三十郎は名作か

椿三十郎』のリメイクが話題になっていますが(いろいろな意味で)、そもそもあれは、それほどの名作であろうか。

『用心棒』の続編として作られたそうだが、ただの二番煎じではないか。

黒澤明の『用心棒』を、時代劇らしくない現代風アクション映画と評している人もいるが、もともとダシール・ハメットのハードボイルド小説『血の収穫』を時代劇に翻案したものであるから、そんなことはあたりまえなのだ。

ハメットの『血の収穫』は、『マルタの鷹』の知名度と比べると不幸な作品のような気もするが、
「とある町に立ち寄った主人公が、そこで敵対する2つの組織に近づき、その両方を壊滅させて、去っていく」
というストーリーは、その後の娯楽作品に、多大なる影響を与えている。ようするに、パクられまくっている。

『用心棒』と、『荒野の用心棒』もそうだし、

『暗黒街の対決』(岡本喜八監督)
『日本一のヤクザ男』(古澤憲吾監督)
野獣の青春』(鈴木清順監督)
座頭市物語』(三隅研次監督)

これらは、ほとんど同じストーリーである。
だからまあ、いまさら『椿三十郎』もないよなあ、と思うのです。

血の収穫 (創元推理文庫 130-1)

血の収穫 (創元推理文庫 130-1)