週刊文春で「文春きいちご賞」の発表
毎年の最低映画を選定するゴールデンラズベリー賞の日本版で、今回で、3回目。
それで、昨年度の第一位『SHINOBI』を、先日テレビで見ました。でもこれ、それほど悪い映画とは思わなかったけど。みんな、この手の映画に、何を期待してるんだろう。
2005年度の、
という映画も、おれは、それほど「最低」だとは思いませんでした。むしろ、楽しめた映画でした。
ていうか、この「文春きいちご賞」という企画自体、面白味に欠けるというか、本家ゴールデンラズベリー賞のような、ウィットとユーモアに欠けている、と思います。どうせなら、1〜10まで、「キネマ旬報ベストテン」と同じにして、徹底的に酷評してはどうか。
ちなみに、今年の「文春きいちご賞」
1位「ゲド戦記」(宮崎吾郎監督)
2位「日本沈没」(樋口真嗣監督)
3位「ダ・ヴィンチ・コード」(ロン・ハワード監督)
4位「涙そうそう」(土井裕泰監督)
5位「PROMISE」(チェン・カイコー監督)
6位「LOST LOVE 海猿」(羽住英一郎監督)
7位「連理の枝」(キム・ソンジュン監督)
8位「アンジェラ」(リュック・ベンソン監督)
8位「ラフ ROUGH」(大谷健太郎監督)
10位「7月24日通りのクリスマス」(村上正典監督)
それで、仲間由紀恵・オダギリジョー主演による、『SHINOBI』の感想を書こうと思うのだけれど、ようするにこの映画が酷評されるのは、山田風太郎の原作を滅茶苦茶にしやがって、という恨みが、あると思うのですね。
しかしそれほどの、風太郎ファンは、Vシネマの『くノ一忍法帖』シリーズにも同じような反応をするのだろうか。
いや、あの、「乳時雨」「乳団子」「魔羅ん棒」だとかの、お色気アクション時代劇こそ、風太郎の本領だ、すばらしい、とでも言うのか。まあ、そこまでいうのなら、あれですが。
ようするに、「原案」程度にしておけば、さほど、反発もなかったのでは。だいいち、『甲賀忍法帖』を、忠実に映画化したら、101分じゃ収まりませんがな。
あの奇天烈な忍法は、活字で楽しむものだと、思いますね。
はしるというより、ころがるといった方が適当だ。甲賀の忍者鵜殿丈助は、夜空をあおぎながら、鞠のように山をころがっていった。鞠と違うところは、山を上へ転がる点だが――。
いや、それだけではない。空を見ながらはしるのだから、彼は幾十本かの樹に衝突した。たしかに衝突したとみえるのに、次の瞬間、彼はなんの異常もなくむこうへかけぬけている。
彼はけむりか。いや、そうではない。
これを高速度に撮影したら物体に衝突したとたん、彼のからだのあらゆる部分が、鞠のごとくくぼむ奇怪な現象がハッキリみえたかもしれぬ。じっさい、二、三度ははねかえって、あおむけにころがったこともあるのだが、再び自動的にはねかえってまたはしりだすのだ。
鞠とするなら、これは生命ある鞠であり、意志力を持つ鞠であった。