芋虫の盗作映画

 若松孝二の『キャタピラー』を見たのだが、じつに低俗な映画であった。エログロのシーンがほとんどである。なにが反戦映画か。
 出征していた夫が四肢を失って帰郷した、という設定の他にはどこも見るべきところがない。この設定だって江戸川乱歩の『芋虫』である。これが原作と思っていたのに、どこにもクレジットがない。調べると、『芋虫』をモチーフにしたオリジナルストーリーということにして、版権料の支払いを逃れたそうである。こんな卑怯なことを許してはいけない。海外で賞をもらうようになっても、やはり出自はポルノ映画監督である。