大どんでん返し

読売新聞「本のソムリエ」という記事。主婦の投稿で、

ミステリー小説が好きですが、だいたい「この人が犯人」と途中でわかってしまいます。最後に大どんでん返しがあるようなびっくりする小説を教えてください。


それに、千街晶之氏が、次の三作品を紹介している。

草野唯雄『クルーザー殺人事件』
三津田信三『首無の如き祟るもの』
ジェームズ・アンダースン『切り裂かれたミンクコート』

千街氏によれば、「百人中九十九人は、犯人を当てられない」
「こんなのありか? と唖然とした」と絶賛する『クルーザー殺人事件』ですが、
さっそく古書店で買ってきて、どきどきしながら読んだのだが、失望。

2時間ドラマにありがちなストーリー。いわゆる量産型作家が書く、通俗ミステリ小説。もしや、どんでん返しがあると思って読むと何もない、という「どんでん返し」か?

まあ登場人物のうちの誰かが犯人なわけであるし、「犯人当て」を目的とした読み方は、概してつまらない。

最近は、「叙述トリック」を使う作家が増えてきて、どんでん返しを味わいたいなら、こっちのほうがいい。思いつくままに、列挙してみたい。

アガサ・クリスティーアクロイド殺し
ビル・S・バリンジャー「歯と爪」
セバスチャン・ジャプリソ「シンデレラの罠」
辻真先「アリスの国の殺人」
連城三紀彦「私という名の変奏曲」
折原一「失踪者」
泡坂妻夫「しあわせの書」
筒井康隆ロートレック荘事件」
殊能将之ハサミ男
生垣真太郎「フレームアウト」
乙一「GOTH」
我孫子武丸「殺戮にいたる病」
歌野晶午「葉桜の季節に君を想うということ」