僕だけがいない街

 テレビでやっていた『僕だけがいない街』を見たのだが、なんじゃこりゃ、という映画だった。
 藤原竜也にはタイムリープする能力があって過去に戻って連続少女誘拐殺人事件の被害を食い止めようとするのだが、けっきょく助けることができたのは親から虐待されていた同級生の少女と自分の母親だけだった。
 けれども歴史を変えることはできなくて、同級生の少女を助けたがために、別の少女が代わりに殺されてしまうし、その後も何十人もの少女が犠牲になるのだ。現在に戻った藤原竜也がラストで犯人を殺すのだが、それはもう犯人が連続殺人に手を染めたあとなので、どうせ殺すなら犯人がまだ犯罪を行なう前に殺さないと意味がないが、何の犯罪も起こしてない人はまだ犯人ではないので、そういう人を殺していいのかという問題があるから、どうにもこのストーリーには無理がある。それに娘を虐待していたバカ親が何の罰も受けないのもおかしい。
 とにかく、藤原竜也が助けた少女の代わりに殺された少女が、かわいそうでならない。誰かを助けても、別の誰かが犠牲になるのだったら、藤原竜也はもう、よけいなことをしないでほしい。