なぜ恋の歌ばかり、詠むのか

昨夜放送のNHK教育『眠れない夜はケータイ短歌』
見ました。
途中まで。
視聴者がケータイやパソコンで作った短歌を、番組に送って、まあ、それを紹介するというものですが。
ゲストに、穂村弘が出てました。
こいつか。『手紙魔まみ、夏の引越し(ウサギ連れ)』を書いたおっさんは。
はじめて顔を見ました。
ぼくはどうも、穂村氏の書くものには、共感できないのですが。ごめんなさい。
笹公人さんの『念力家族』(インフォバーン)はいいですね。

注射針曲がりてとまどう医者を見る念力少女の笑顔まぶしく


ドラえもんがどこかにいる!」と子供らのさざめく車内に大山のぶ代


中央線に揺られる少女の精神外傷(トラウマ)をバターのように溶かせ夕焼


サヨナラを人文字でする屋上に 飛行機の中の君よ元気で……

それで、『眠れない夜はケータイ短歌』ですが。はっきり言って、つまらなかったです。
恋の歌ばっかりで。
もう、ほとんど、それでした。なんか、男子高校生が、片思いの女子生徒に告白するコーナーまであって。
なぜ、恋の歌ばかり、詠むのですか。
まあ、万葉・古今の時代から、「相聞歌」というのはありましたが。
他人の恋の話なんて、どうでもいいと思っているのは、おれだけですかね。
それで、つまらないので、途中から、『ターミネーター2』を見ました。
まあ、そういう短歌ばかりを選んで、放送してるんでしょうけどね。
NHKの不祥事をからかった短歌を、投稿しても、どうせボツでしょ。
それで。
ぜったいNHKでは放送できない短歌というのを紹介しようか。
寺山修司もいいけど、
ぼくがショックを受けたのは、夢野久作の『猟奇歌』ですね。

わが胸に邪悪の森あり
時折りに
啄木鳥の来てたゝきやまずも


かゝる時
人を殺して酒飲みて女からかふ
偉人をうらやむ


春の夜の電柱に
身を寄せて思ふ
人を殺した人のまごゝろ


埋められた死骸はつひに見付からず
砂山をかし
青空をかし


殺すくらゐ 何でもない
と思ひつゝ人ごみの中を
濶歩して行く


高く高く煙突にのぼり行く人を
落ちればいゝがと
街路から祈る

とりあえずこのへんで。
まだ読みたい人は、「青空文庫」のサイトで、無料で読めますから。