本多勝一が昔に書いた 『NHK受信料拒否の論理』(未来社・1970年)を読み返してみた。本多が受信料を払わないのは、次のような理由による。
「朝鮮・中国の侵略にはじまる日本軍国主義の膨張と崩壊の過程で、日本の民衆をだまして侵略の先兵にかりたててゆく上に、大新聞とNHKラジオの果たした役割ははかりしれない」
「NHKの侵略への加担の大きさ、すなわち戦争責任の巨大さは、改めて論ずるまでもあるまい」
「だが、戦後のNHKは、みずからの戦争責任の反省を、どれだけしてきたか」
「NHKテレビは、毎晩放送が終わるたびに、中国人などからみれば侵略の象徴としての血ぬられた日の丸をはためかせ、それだけならまだしも、同時に天皇をたたえる歌『君が代』を、演奏し続けている。この歌は、中国・朝鮮はもちろん、すべてのアジア人から見れば、『虐殺の歌』としてひびくのだ」(いずれも同書より引用)
さらに、中国が戦後まもなく革命によって社会主義国に生まれ変わった時、全マスコミの中で、NHKは最後までこれを「中共」と呼び続けた、とか、南ベトナム解放民族戦線のことを「ベトコン」という蔑称で呼び続けた、などという時代を思わせる記述もある。
ようするに、NHKは当時の政府・自民党とべったりで、保守偏向だからけしからん、と吠えているのである。
本多勝一は2007年に『NHK受信料を拒否して四〇年』(金曜日)という本を出しているから、いまだ受信料拒否を続けているようだ。「ニュース番組を見ていますと、ほとんどが時の政権の広報係であって、戦前と大差がないように思われるのです」と批判している。
しかしこのあと、政権交代が起きてあの民主党政権となった。いまやNHKは、中韓偏向報道をする売国放送局とネットで叩かれ、それゆえに受信料支払い拒否運動が起きている。隔世の感がある。