電凸の作法

 民法のテレビ局にいくら苦情の電話を入れたって、てきとうに聞き流されて終わり。
 純丘曜彰の『きらめく映像ビジネス!』(集英社新書)には、次のように書かれている。

 マスコミ(マスコミュニケーション)などといいますが、テレビの実態はまさに「放送」、一方通行の送りっぱなしです。とはいえ、それぞれの周波数帯はあくまで公共財であり、これをテレビ局という私企業が自分の電波で独占して莫大な広告収入を得ることには大きな問題があります。いってみれば、ある公園全体を占拠し、排他的にさまざまな看板を並べて大道芸で客寄せ商売をしているようなものです。そこには当然、公共の利益も求められるべきでしょう。
(99ページ)

「みなさまの受信料」で作られているNHKの「視聴者センター」は、きわめて迅速かつ丁寧な対応で、深夜の台風の天気図のフィラーミュージック(背景音楽)を問い合わせても、その曲名からCD番号まで即答できるほどです。
 一方、民放は、いくら「視聴者センター」の担当者が真摯に対応しても、現場は日々の仕事に追われ、また、「業界人」を気取って一般視聴者を「パンピー一般ピープル)」と呼んで蔑視する風潮もあり、よほど催促しないかぎり、まともな応答など得られないことも多いでしょう。番組担当部署に直接に電話をかけても、ADがとって聞くだけで、もみ消されてしまいます。ましてローカル局の場合、ほとんどの番組はキー局から送られてくるだけで、内容も事情もわからず、暖簾に腕押しです。
 しかし、テレビは、きわめて強い縦社会になっています。
 それゆえ、番組に対して真に苦情があり、視聴者センター経由ではまともな応答が得られない場合には、制作現場などではなく、より上位、つまり部長や局長、さらには社長、番組審議会に弁護士名付の書面で正式に申し入れると、手のひらを返したように、あわてて現場責任者が飛び出してきます。
 もしこれでもダメならば、「放送倫理・番組向上機構BPO)があります。これに従わなければ、テレビ局そのものが、総務省から放送停止などの懲罰を受けます。
(99-100ページ)


 ですってよ、奥様!