永井愛のザ・空気

 永井愛の芝居はどれもくだらないが、『ザ・空気』もひどかった。テレビ局の報道番組のスタッフが、番組改編の圧力を受けて、おろおろするだけのばかげた話である。
 その圧力というのも、報道特集番組のコメントを変えろだの、政府批判のシーンをカットしろだの、たかがその程度のことである。
 永井愛は、従軍慰安婦問題を裁く民間法廷を扱ったETV特集が上層部の指示で改編させられた事件にショックを受けたと言いながら、この芝居には、従軍慰安婦天皇も一切出てこない。
 それで報道の自由を描いたつもりか。ばかばかしい。スポンサーや大手芸能事務所にさえ逆らえないテレビ局に、政権批判などできるわけがない。
 登場人物も筋書きも、みなマンガである。正義感の強い女性キャスターが出てきて、「凄い時代になったねぇ、あちこちで民主派が敗北していく。理性や知性が、どんどん通用しなくなっていく」などと歯の浮くような台詞をしゃべるのだ。自分にはよほど理性も知性もあると思っているのだろう。
 それでこの芝居のラストが暗示する未来では、憲法が改正されて、自衛隊国防軍になり、緊急事態法なるものが成立するのだ。内閣は超法規的な権力を行使できて、ジャーナリストはみんな特定秘密保護法共謀罪によって処罰される世の中になっているというのだ。
 左翼ばばあの妄想である。壮士芝居である。ああ、日本はおしまいだ、などと背筋を凍らせる観客もおろかである。
 こんなくだらぬ芝居が、読売演劇大賞である。政権に忖度している新聞社が主催する賞をよく貰えるものだ。しょせん、その程度の報道批判である。
 何度でも書くが、私は永井愛の芝居をひとつもおもしろいと思ったことがない。永井愛に忖度する者ばかりだ。くだらぬものを、くだらぬと言えないのだ。
 そういう演劇界こそ、ザ・空気である。

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ザ・空気

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