バーチャル・アイドルというのは、芳賀ゆい、にしても、伊達杏子にしても、なんとも思わなかったのであるが、初音ミクには、萌えた。
「声」に特化しているのが、成功した要因だろうか。ロボットでも、人間そっくりに作ろうとしているものほど、人間から遠ざかっているような気がする。
初音ミクを知らない人のために説明すると、コンピュータの音楽用ソフトで、パソコンでメロディと歌詞を入力すると、「初音ミク」が女性の声で、歌ってくれるんです。
「電脳歌手」登場・職失う「並」の才能
(前略)
彼女(初音ミク)が登場したところで、ものすごく上手なボーカリストの仕事はなくならないが、あまり巧くない代わりに安く雇うことのできたボーカリストは、仕事を失う可能性があるということだ。実際、初音ミクくらいのクオリティで歌わせることができるなら、楽曲を完成させる前の「仮歌」の段階であれば、わざわざお金を払って人を雇う必要はなくなるだろう。
長期的に見ればこうした傾向は、音楽の分野に関する限り、アーティスト志望の人たちの「下積み時代」を、より厳しいものにしていく可能性がある。
華々しくデビューできるのでない限り、音楽で仕事をしようと思っても、「その程度ならパソコンでできるから」と言われてしまうのだ。(引用終)
いやまあ、そうだけど、社会学者の分析というのは、昔から言われていることを、たんに言い換えただけだなあ。
ようするに産業革命以来問題にされてきた、オートメーション化よって労働者が職を失う、という話でしょ。
音楽の分野に限ったことでもないし、パソコンのペイントソフトの登場で、漫画家のアシスタントの多くは、失業した。
「仮歌」で生計を立てている歌手が、どれだけいるのか知らないけれど、どんな音でも出せるシンセサイザーの登場は、スタジオミュージシャンの多くを、失業させたはずだ。
そういう問題は、それとして、「初音ミク」というのは、新しい音楽だと思うんだ。