柳美里が作詞して、長渕剛が作曲した福島縣立小高産業技術高校の校歌がある。
曲の方はともかく、歌詞がひどい。
「懐かしき 海の音 滿つる」などと文語表現を用ゐながら、「海ありき 海ありき 村上海岸」と續くのだ。
ありきの「き」は過去を表す助動詞である。これだと「海があつた 海があつた」と云ふ過去形の意味になる。つまり、村上海岸はもうないのだ。
二番と三番の歌詞は、「花ありき 浮船の紅梅」「川ありき 小高川」である。
すべては過去形であるから、今はもう浮船の紅梅も小高川もなくなつてしまつたと云ふ意味である。
原發事故によつて海も花も川も消滅したと云ふ、なんとも陰慘な歌詞である。こんなものを歌はされる高校生が、かはいさうでならない。
校歌を作るなら、せめて正しい文語文法ぐらゐは心得ておいてもらひたい。
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