性差別は文化の基盤である

 町山智浩がTVドラマ『The Handmaid’s Tale(侍女の物語)』について語っているが、どうも釈然としない。
 このドラマの脚本家によると、このドラマは「女性差別に宗教を利用している人たちを批判している」ものだという。それを受けて町山智浩は、次のように語る。

 ほとんど全ての宗教が男尊女卑だっていうことは、宗教に理由があるわけじゃなくて、逆に男たちが宗教を利用してそういうシステムを構築しようとしたわけですよ。さっき言った女子割礼とか女性を石打ちする刑っていうのは実は宗教が始まるもっと前からあるんですよ。

 それこそ2000年、3000年前からやっているんですよ。だから宗教は関係ないんですね。もともと男尊女卑の方が先にあるわけですね。

 だから宗教の問題じゃなくて、どの宗教も利用されてそういうことをしているんですよ。やろうとしているやつがいるんです。だから宗教がないところでもそうで。共産主義だったルーマニアでは人口を増やすために避妊も中絶も禁じられていて、全ての女性は子供を産むマシーンにさせられていて。で、全ての女性の月経の周期を警察が管理していたんですよ。

 だがちょっと待ってほしい。
 太古の昔から、権力を握るのは必ず男で、その男たちがことごとく男尊女卑の社会を作ってきた、というのであるから、これはもう人間の本質がそういうものだと考えるほかあるまい。長い歴史の中で、人間は男尊女卑より他に恒常的なシステムを構築できなかったのである。
 映画評論でも社会批評でもいまだに精神分析が便利に使われているが、岸田秀が「性差別は文化の基盤である」と書いたのを、みんな忘れたふりをしているのではないか。
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続 ものぐさ精神分析 (中公文庫)

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