将棋という謎のゲーム

 藤井聡太が勝ちまくっているが、なぜ強いのかはおそらく誰にもわからない。
 金出武雄は『独創はひらめかない』(日本経済新聞出版社)の中で、次のように書いている。

 つまり、人間も、自分が求めたすばらしいと思っている答えが、本当にベストかどうかを知る方法はないのである。
「その証拠に」と、私はよく言うのだが、碁の本当の名人二人が対局場にやってきたとしよう。するとどうなるべきか。先手、後手を決める、先手がじっと考える。そして、しばらくすると「勝った」と言う。後手は「参った」と言って終わるはずだ(あるいは逆かも)。
 つまり、本当に彼らが常に最善の手を指しているのなら、碁や将棋といった可能性の数が天文学的とはいえ有限なゲームは、はじめから対局する理由はないのだ。にもかかわらず対局しているということは、彼ら名人は最善の手を指していないか、指していることを知らないのだ。
(94頁)

 これはおそろしいことである。人は自分のやったことが善いことなのか悪いことなのか、本当の意味では、知ることができない。
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独創はひらめかない―「素人発想、玄人実行」の法則

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