レイチェル・カーソンの『沈黙の春』といえば、環境問題を告発した名著として知られる。農薬や殺虫剤として使われていたDDTの、環境への悪影響を告発した。
DDTは、長期間にわたり土壌や水循環に残留し、食物連鎖を通じて人間の体内にも取り込まれる。発ガン性や、環境ホルモンとしても危険視され、世界各国で使用が禁止された。
ところが、五島綾子『<科学ブーム>の構造』(みすず書房)によれば、DDTの環境リスクは、今日でも明確になっていない。にもかかかわらずDDTが全面禁止となったため、殺虫剤としても使えず、マラリア感染が激増した。
環境を保護すれば、害虫が増えて、人間が死ぬ。