安保法制は憲法違反だ、として批判が高まっている。集団的自衛権を行使するなら憲法9条を改正しなければならない。しかし憲法改正は、ハードルが高くてできない。それならばというので、閣議決定により条文の解釈を変えたのだ。解釈改憲という方法である。
これについて、日本弁護士連合会は次のような声明を出している。
「私たちは、法律家団体として、立憲主義を堅持する立場から、閣議決定や法律改正により政府解釈を変更し、集団的自衛権の行使を容認することに反対します」
http://www.nichibenren.or.jp/library/ja/activity/data/constitution/self_defence_qa.pdf
また、憲法学者からも批判が出ている。
長谷部教授は、政府が閣議決定で集団的自衛権の行使を容認したことについて、「集団的自衛権の行使が違憲だという結論は、長年にわたって、複数の政府機関が徹底的で入念な熟議を経て出されたものです。こうした成果が、時の首相の好みで変更できるなら、政治権力を制限するという憲法の役割は消失してしまう。憲法条文のどんな解釈でも可能ということになってしまう」と、危機感を表明した。
ところが、である。あきらかに憲法違反のおそるべき法律が、いままさに成立した。
それが、18歳選挙権である。
この条文は、「国会議員など公務員の選挙は、成年者による普通選挙によって行う」という意味である。(伊藤真『現代語訳 日本国憲法』による)
「成年」とは、民法第4条により、「年齢20歳をもって、成年とする」と決められている。
ところが政府は、公職選挙法を改正することによって、選挙権年齢を「20歳以上」から「18歳以上」に引き下げたのだ。暴挙である。18歳が成年か。それなら民法も変えねばなるまい。
憲法第15条は、民主主義の根幹をなす普通選挙の原則である。それを変更するなら憲法を改正するのが筋である。それなのに、「閣議決定や法律改正により政府解釈を変更」したのだ。こんな屁理屈がまかり通るなら、「憲法条文のどんな解釈でも可能ということになってしまう」ではないか。
護憲派よ、日弁連よ、憲法学者よ、なぜ抗議しないのか。
d.hatena.ne.jp
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