書店に平積みされていたどこかの僧侶が書いた本を、パラパラと見たのだが、こんなものか、と思う。
ただの通俗人生論である。
こういう本を読んで満足できる人は、相田みつをの書にも、感動するのだろう。
きびしい修行に耐えて、この程度の知恵しか得られないのなら、部屋で哲学書でも読んでいたほうがましだ。
滝に打たれたり座禅したり断食するより、日常生活を生きる方が苦しい。檀家に守られ、税金も取られない坊主に、その苦しみがわかるか。
仏教というのは、生きている人間も社会も、一切は仮象だとし、死んだあとのことばっかり考えている。だから、社会変革にはつながらない。
死者が成仏するよう、念仏を唱えるだけ。
しかし、死んでからではもう遅い。
出家などは、社会変革の希望も、自己変革の意思も失った、隠者のすることである。
さとったから、どうだというのか。
さとるな、迷え。