ジョークの限度

「英BBC、二重被爆者を「世界一運が悪い男」と笑いの種に 日本大使館が抗議」というニュースがあった。
 日本でも、その昔、ビートたけしが「ノーモア広島、ワンモア長崎」と言っていた。これを覚えているのはおれだけかと思ってたら、ネットで検索するといっぱい出てきた。やっぱ知られてたんだな。しかし被爆者団体が抗議したという話は聞かない。
 それから、常盤雅幸の『真ッ赤な東京』(集英社文庫)というマンガがある。
 その内容は、まず機関車が走ってて、そこに若い母親と坊主頭の息子が乗っている。母親のセリフ。

「優しくて大きかった夫は、南方でコオロギのように死んでしまいました」
「もう守るものはこの子だけ、と思ったら、三月の空襲で家が燃えて サバサバしました」
「犬死にしてたまるもんですか。故郷へ帰ります」

 機関車が向う先は広島である。
 そして、「昭和二十年八月五日」というオチである。