長崎は今日も花火だった

 ドキュメント72時間『長崎 お盆はド派手に花火屋で』を見てびっくりした。長崎のお盆では、花火や爆竹をばんばん鳴らして邪気を払うのだという。それで花火屋を取材していたが、とにかく客がひっきりなしに来て花火をばかばか買っていくのである。どんな仕事で稼いでいるのか、花火に四十万円も使った客がいた。それで爆竹なんか箱ごと火をつけるから、みんな耳栓をやっているのである。三日間で三千人の来客というから、あの店はお盆だけでいったいいくら稼ぐのか。
 キリシタンが処刑され、原爆が投下された土地である。なぜ神は沈黙しているのか。
 おれは、さだまさしの『精霊流し』という歌が好きだったから、精霊流しというのはおごそかに、しめやかに故人を弔うものだと思っていたので腰をぬかした。それで番組にはさだまさしの親族も出ていて、その精霊船も紹介されたのだが、これが屋形船みたいな豪華な船でクレーンで組み立てられていたのである。
 なぜ無駄な公共事業がなくならないのか、とか、なぜ官僚の天下りがなくならないのか、とか、なぜ能年玲奈は本名で芸能活動ができないのか、とか、世の中にはいろいろあるが、こんなばかげた風習さえなくせないのだから、もっと大きな問題が解決できるわけないのである。