日本初のスタンディングオベーション

 小林賢太郎『僕がコントや演劇のために考えていること』(幻冬舎)を読んでいたら、こんな記述があった。

 音楽であれ演劇であれ、エンターテイナーがショーをやったら、最後には拍手をする。これは古くから西洋にあった習慣です。これが、明治時代に日本に伝わってきて、今の私たちの拍手があるんだそうです。ということは、歌舞伎や落語のあとに江戸時代の人たちは拍手をしていなかったんですね。(P94)

 それで思い出したんだが、あれはフリオ・イグレシアスが初来日した時だから1983年頃だと思うが、そのコンサートの最後で、客席にいた高島忠夫が急に立ち上がって「ブラボー」と言いながら拍手したのよ、と、おすぎとピーコが笑い話にしていて、それを聞いたおれは、そうか、コンサートでそういうことをするのは恥ずかしいのだな、と思った覚えがある。あの頃にはまだ、スタンディングオベーションは日本に伝わってなかったのだ。