太田光はなぜ安倍首相を殺さなかったのか

 ラジオ番組で安倍首相をバカ呼ばわりした太田光は、そのすぐあとに首相主催の「桜を見る会」に招待され、首相の隣でおどけたポーズで写真に納まり世間の失笑を買った。
 それについて太田は、こちらのインタビュー記事であれこれ弁明している。
吉田豪インタビュー企画:爆笑問題・太田光「ネットは罪、ホントになくなったほうがいい」(1)(1ページ目) - デイリーニュースオンライン

──「総理大臣でもバカはバカ」とか言ったら、「そう言うおまえのほうがバカなんだよ!」ってツッコミがほしいわけですね。

太田  そうそう。お前が言うな!っていう、それで俺が世間に嗤われる。そこまでで、セットじゃない。

 ようするに、お笑い芸人のやることなんて全部シャレだ、ギャクだ、それをわからないやつは野暮だ、と言いたいのである。ビートたけし以降、お笑い芸人なら、何をやっても許されるらしい。芸人ふぜいが、ずいぶんえらくなったものである。

太田  えーっ!! そういうの、どうなんだろうね? でもここんとこ、ふかわ(りょう)に殺人予告した人が捕まったりとかいろいろあるよね。……ふかわなんか殺しちゃえばいいじゃん。って言ったらまた問題になるだろ?(笑)
(上記インタビュー記事より)

 アラン・バーグという人気DJがいて、ラジオでの過激な発言がもとで、極右団体のメンバーに殺された。この事件を題材にしてオリバー・ストーンは『トーク・レディオ』という映画を撮った。
 ところで太田光は、いったい何になりたかったのであろうか。お笑い芸人など、しょせんは名前を売る手段に過ぎなかったはずである。名前は売れた。それで何がやりたいのか。小説を書いても映画を撮ってもぱっとせず、かといって談志のように芸があるわけでもない。性懲りもなく過激な発言を繰り返して、アラン・バーグにでもなるつもりか。
 それにしても平成の吉田松陰高杉晋作は、政治家よりもお笑い芸人を殺したいようである。