差別は差別

 欽ちゃんファミリーの“わらべ”が歌ってヒットした「めだかの兄妹」(荒木とよひさ作詞)という歌がある。めだかの兄妹が川の中で、大きくなったら鯉やクジラになりたいと願うのだが、だけど大きくなっても「めだかはめだか」という歌詞である。
 呉智英は『危険な思想家』(メディアワークス)のなかで、これは血統や家柄を強調しており、差別や人権侵害にあたると指摘している。「めだかに生れついた以上、いかに高望みをしてもめだかはめだかなのだと歌っているのだ」(P71)
 また「ぞうさん」(まど・みちお作詞)という童謡も同じく、かあさんとその子供の鼻が同じように長いというその歌詞は、身体的特徴が血統によって遺伝することを強調した歌であり、これも差別であると断じている。
 それを言うなら、タイトルがそのものずばり「かもめはかもめ」という歌があるではないか。中島みゆきが作り、研ナオコが歌ってヒットした。かもめに生れついた以上、いかに高望みをしても「かもめはかもめ」という、あきらかに差別であり人権侵害だ。しかし呉智英中島みゆきファンなので、この歌には触れない。