生きろ、という価値観

 戦時中の残虐行為への批判に対して、現在の価値観で過去を裁くなと言う人がいる。それならば、先ごろ放映された報道ドラマ『生きろ』のように、戦時中に「生きろ」と呼びかけた沖縄県知事を称えるのもおかしい。なぜならば、これも現在の平和主義や生命至上主義の価値観で、過去を裁いているからである。
 かつての軍国主義がまちがっていたとして、現在の平和主義が未来永劫正しいと言える根拠はあるか。毎年この時期になると反戦や平和をテーマにした報道がなされるが、かつての「木口ラッパ兵」や「爆弾三勇士」といった軍国美談の英雄たちが、平和主義の英雄に代わっただけのように、私には思えるのである。