靖国、氷雪の門、腹腹時計

月刊『紙の爆弾』6月号
「言論を封殺したのは果たして誰なのか?」
映画『靖国 YASUKUNI』に街宣をかけた右翼の言い分

街宣右翼へのインタビュー記事。

映画『プライド・運命の瞬間』に対し、左翼団体は、「戦争を美化するな、靖国を美化するな」と抗議し、上映中止を訴えるデモまで行った。

それが『靖国』では、一転して表現の自由を主張している。
これはおかしいのではないか。

という主張。まさに正論。
表現の自由は、左翼にだけあるのではない。
しかしこういう意見が実話雑誌にしか載らないというのも、さみしい。朝日もNHKも、中立を装いつつ、いかに偏向しているか。

ウィキペディア「プライド」をみると、

1998年5月16日朝日新聞
「映画『プライド』を批判する会(事務局長高橋邦夫)」が結成され、公開中止を東映に申し入れた。

朝日新聞も、自分のところでこういう記事を書いておきながら、『靖国』上映中止で、表現の自由の危機とか、騒ぐなよ。

『氷雪の門』という反戦映画の名作があるのだけど、これも当時、「ソ連に対し非友好的」という理由で、東宝系での劇場公開が中止されている。

文藝春秋』(六月号)で、坪内祐三が書いているが、『靖国』の配給会社の担当者は、坪内氏が『靖国』という本を書いているのも知らぬまま、失礼なファックスを何通も送ってくるような、仕事熱心というか、しつこい人らしく、けっきょく今回の騒動は、みんなこの配給会社に、してやられた、ということであろう。

右翼の抗議で上映中止なんてものは、渡辺文樹の『腹腹時計』でもあったじゃないか。渡辺監督は、なんか先日、旅館の宿泊代を踏み倒したとして逮捕されたという身につまされるニュースを見たが、彼ほど表現の自由と戦っている映画監督はいまい。

それで中島貞夫監督の『日本暗殺秘録』であるが、テロリストを賛美しているとか、そういう理由で、ビデオ化も再上映も、できない状態らしい。『靖国』なんて駄作はもういいから、こういうのをなんとかしてほしい。