敵中横断三百里

黒澤明の脚本というので(小国英雄との共同脚本)、映画『敵中横断三百里』(監督・森一生)をDVDで。

これは山中峯太郎の同名小説の映画化で、原作は日本の冒険小説のさきがけとして有名。
期待したのだが、じつにつまらない。
古臭いし、サスペンスもないし、冒険というには牧歌的。
日露戦争が舞台なのだが、戦中の国威高揚映画みたい。

この脚本は、1942年の執筆だから、黒澤の若い頃の習作か。こんなつまらない脚本を書いていた人が、やがては世界の黒澤になった。わからぬものである。

これを見てて思ったのだが、おそらく、冒険小説のルーツは、戦中に多く報道された、勇敢な兵士の話とか、戦意高揚のための愛国美談、そういうのが原型になってるんじゃなかろうか。

『ナヴァロンの要塞』も、『鷲は舞い降りた』も、福井晴敏も。