昭和エログロ

ギャオで、増村保造の『赤い天使』

増村監督の映画は好きではないのだが、タダで配信されているので、これまでに『卍(まんじ)』、『でんきくらげ』、『遊び』をとりあえず見た。(すごいタイトルだ)
その中では、『赤い天使』がいちばん興味深かった。

昭和十四年、看護婦さくら(若尾文子)は、支那の陸軍病院に配属される。そこで精神病を装う患者らに、深夜の病棟で輪姦される。
次の配属先の野戦病院では、傷病兵の手足を切断する毎日。
モルヒネ中毒でインポの軍医からセクハラ。
もとの病院に戻ると、両腕を失った兵隊に手淫をせがまれ、引き受ける。彼女は、さらに肉体関係を持つのだが、兵隊は自殺。
軍医に恋をした彼女は、従軍看護婦として前線に行くことを志願するが、コレラの蔓延する村に置き去りにされ、敵に包囲される。

これを反戦映画とする見方もあるようだが、であるならカストリ雑誌のエログロ記事も、反戦平和の記事となろう。

増村監督というのは、晩年は大映テレビで、「赤いシリーズ」などの演出をやっていたそうだが、乱歩原作の『盲獣』にしても、俗情を煽るところに力点が置かれているように思う。

昭和というのは、エログロ・ナンセンスの時代だった。
いやまあ、江戸時代からそうだったか。