この患者は俺が助ける、と言ってみたい

医龍2』が、おもしろすぐるので、レンタル屋で未見の、前作『医龍』まで借りてきました。
チームを組んで敵と戦う、というのはロールプレイングゲームの基本設定であるし、本宮ひろ志や、梶原一騎が作り上げた、少年マンガの王道。

超人的なヒーロー、宿命のライバル、魅力的なヒロイン、の三角関係。メガネくんまで、いるじゃないか!

押入れから、『サルでも描けるまんが教室』を引っ張り出してきて、「ウケる少年まんがの描き方」を読んだら、そのまんまだった。

”一日一勝負”が少年まんがの合言葉!!

医龍』の場合、「敵」は心臓病で、この強敵を前に、ヒーローは追い詰められ、負けそうになるんだけど、最後の最後で勝利する。すると、今度はもっと強いやつが出現する。ヒーローは、もっと難しい心臓病の手術に挑まなければならない。これは少年マンガでいう「強敵のインフレ」型ストーリー。

番長を倒したら、今度は、身長20メートルほどもある「影の番長」が現れる。そいつを倒したと思ったら、つぎは、「全国番長連合」の不良1万人との決闘が始まる!
どうする! 万吉!

まあ、そういうセオリー通りのところが、ご都合主義といえば、そうだけど、バチスタ手術なんて、医学書読んだってどうせわかりゃしないのに、このドラマでわかった気になるもんなあ。(バチスタは架空の設定らしいが)

大学病院の医局のいやらしさとか、製薬会社の陰謀とか、映画『ナイロビの蜂』でも、描かれていたけど、製薬会社というのは、武器商人とかわりませんなあ。

医龍2』は、内田有紀の命を救ってやったのに、コイツがじつは悪人だった、という展開で、浦沢直樹の『MONSTER』みたく、なるのかと思ったら、ヤブ医者の集まる病院に飛ばされた主人公が、この病院を建て直す、みたいな話になってきて、これはこれで定番だなあ、と思いつつ。

まあ、手術シーンはグロいけど。ああいうのは残酷シーンにならないのか。医者は、頭おかしくならないのか。

しかし、医者というのは、因果な商売だと思うのですが、由良三郎に 『ミステリーを科学したら』という本がある。由良氏は、元東大教授にして医学博士。こんなことを、書かれております。(以下、気が弱い人は、読まないで)

二十日鼠(マウス)を、もっとも手早く確実に、殺すにはどうすればよいか。ただし、外見には何の異常もなく、その死骸を解剖しても、一目で死因が判明するようではならない。


正解は簡単である。
自分の左手の指でマウスの首を台に押付け、右手で尻尾を掴みなるべく勢いよく引っ張るだけなのである。こうすると、脊髄の中の一ヶ所で脊髄がプツンと切れる。その瞬間にマウスの命はおしまいになる。もちろん心拍も呼吸も止まる。後肢がやや伸びる以外には外観にも変化がない。
(略)
私自身、今までに尻尾を引っ張って何匹のマウスを殺したか、
数え切れないほどである。
(P143)


こうした動物実験のことを考えるたび、おれはキリスト教徒ではないが、人間の原罪というものを思う。