飢餓海峡

内田吐夢監督の『飢餓海峡

左幸子伴淳三郎の名演で知られ、名画との誉れ高いが、今見直すと、はたしてそうか。

まあ、3時間は長く感じましたよ。この程度の推理小説なら、2時間ドラマでまとめられる内容。原作者の水上勉というのは、松本清張の二番煎じで、つまらない。

犯人を特定する決め手となる証拠が、十年前に切った親指の爪。DNA鑑定もできない時代に、どうやって立証するかと思ってたら、

「鑑定の必要はない。この爪は、まちがいなくあの男のものだ」という刑事の一言で、終わり。

「彼はとても貧しい家で生まれ育った」と、刑事がセリフで説明するんだけど、こういうのは、映像で見せないと、真に迫ってこない。やはり黒澤明『天国と地獄』は、みごと。

まあ、昔の映画だし、時が経てば、劣化するものもある。