モンスター

映画『モンスター』を見ました。
女性連続殺人犯アイリーン・ウォーノスの生涯を、事実に基づいて映画化したものです。
主演のシャーリーズ・セロンの演技がすばらしい。これが本当に、『イーオン・フラックス』と同じ女性?と思ってしまいました。
「恋人」役のクリスティナ・リッチもいい。『アダムス・ファミリー』のウェンズディ役はキュートでしたが、『ラスベガスをやっつけろ』とか、『バッファロー'66』で、どんどん存在感を増してますね。

『モンスター』では、アイリーンの生い立ちは、あまり描かれないのですが、かなり過酷で悲惨な人生を送ってきたようです。

実母は10代で、長兄とアイリーンを出産。
アイリーンは、母から捨てられ、祖父母に育てられるが、祖父や兄のほか、複数の男性から性的虐待を受けて育ち、14歳で出産し、家族から縁を切られ、森の中の廃車で暮らす。
学校を辞め、娼婦として生計を立てるようになる。
参考:ウィキペディア「アイリーン・ウォーノス」

シャーリーズ・セロンもまた、こんな生い立ちがあるようです。(Yahoo!映画より)

南アフリカ郊外で農場を経営するフランス人の父と、ドイツ人の母の下に生まれる。
母と娘は幼い頃から酒癖の悪い父親家庭内暴力に悩まされていた。
シャーリーズ15歳の時には、ついに母親が父親を射殺する悲劇が起きる(母親は正当防衛が認められている)

アイリーンが、自分を貶めた人間に復讐するのなら、まずは祖父や兄をこそ、殺すべきだと思うが、そうはせず、復讐の対象を、「男」一般へと向けるわけだけど、たしかに娼婦をレイプするような変態男は、殺されても仕方ないと思うが、なかには殺さなくてもいい男まで殺してしまうところが、なんともやりきれない。

ふと、秋田の児童殺人事件を思い出して、規模は違うが、畠山鈴香容疑者にも似たところがあるなと思い、卒業文集で「もう秋田には戻ってくるな」「会ったら殺す」などと書かれた少女の心の痛みは、いかほどかと思い、成人となった彼女が、かつての同級生に復讐するのではなく、わが子を殺してしまうところが、悲劇だ。

モンスターとなった彼女らは、裁かれたが、彼女らをそこまで追い詰めた側の人間は、裁きを受けない。

死刑判決を受け、アイリーンが最後にたどり着いた境地には、
おれは胸を打たれました。

愛は、すべてに勝つ
絶望の果てにも光明が
信仰は山をも動かす
愛に困難はない
すべての出来事には道理が
命ある限り、希望の光が……
勝手に ほざけよ