まちがい探し

俺は死ぬまで映画を観るぞ

四方田犬彦『俺は死ぬまで映画を観るぞ』(現代思潮新社)を読んだ。 浦山桐朗が撮った『わたしが棄てた女』を「名作」としたうえで、そのリメイクである熊井啓『愛する』という映画について、四方田犬彦は次のように酷評している。 で、結果はというと、こ…

限りなく透明に近い誤訳

村上龍の『限りなく透明に近いブルー』は、累計367万部を超えるベストセラーだが、なぜかまちがいがそのまま訂正されずに残っている。ヨシヤマたちと一緒に日比谷野外音楽堂にバーケイズの公演を聞きに行く場面。 ステージにはまるで積木の見本みたいに様々…

すべての法律は憲法違反である

国民は憲法を守らなくてよい。その根拠は、憲法第99条である。 憲法第99条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ 憲法を守る義務があるのは、天皇と公務員である。国民ではない。 国民は法律を…

NHKで半島人

Eテレシアターで、こまつ座の『きらめく星座』を見ていたら、「半島人」というセリフが出てきた。原作者の井上ひさしがこんな言葉を使うはずがない。調べてみるとやはり「朝鮮人」を、「半島人」と言い換えていた。 正一 人夫として九州の炭鉱の飯場にまぎれ…

君が僕を知らない

菊地成孔の『レクイエムの名手 菊地成孔追悼文集』(亜紀書房)から、清志郎への追悼文。 ただしい記憶ではないので、ファンの方々には失礼に当るかもしれませんが、もしよろしかったら、正しい情報は、どうかワタシに教えないで下さい。ワタシは、曲のタイ…

コックサッカーブルースと言葉狩り

村上龍の『コックサッカーブルース』(小学館・1991年)には「知恵足らず」「知恵遅れ」という言葉が出てくるのだが、これが『村上龍自選小説集8』(集英社・2000年)では、別の表現に変えられるか削除されている。どこかからの抗議によるものか、自主規制…

MSのCMに出てる研修医とかいう女

マイクロソフトWindows ツーインワンのCMである。聴診器を首にぶらさげた女が出てきて、カメラ目線でひとしきりしゃべるのだが、あれは女医かと思っていたら研修医なのか。 「医学部の研修にofficeが使えるキーボード付きのラップトップが必要で」「でもSNS…

人の振り見てなんとやら

岡野宏文・豊崎由美『読まずに小説書けますか』(初版・メディアファクトリー)を読む。演劇雑誌「新劇」の元編集長で、「小説のみならず戯曲などにも深い造詣を持ち」(著者紹介文より)という岡野宏文が次のように述べている。 あと、聖書つながりでおすす…

まさかの真逆

Eテレの「SWITCHインタビュー」という番組で、内田樹と観世清和が対談していたが、両者とも「真逆(まぎゃく)」という言葉を使っていた。「(能は)現代とは真逆の世界です」といった調子である。 内田がこうした流行語を使うのは勝手だが、世阿弥の子孫で…

エジソンの名言について

「天才とは1%のひらめきと99%の努力である」というエジソンの名言には諸説あるようで、ざっと調べてみたが出典も定かでない。中山正和『創造思考の技術』(講談社新書)には、次のような記述がある。 説得がまずかったために、すぐれた案がついに陽の目を見…

「相棒」でのAED使用について

録画してあった『相棒season11』第18話「BIRTHDAY」を見たんだけど、子供を蘇生させるシーンでのAEDの使い方がまちがっていた。子供は川でおぼれて服もびしょぬれだ。AEDの電極パットを装着するには、ぬれた服を脱がせて、ぬれた体も拭かないといけない。AED…

赤い飛行船と若者の代弁者

テレ朝の『題名のない音楽会』でジミー・ペイジの特集をやってたんだけど、レッド・ツェッペリンのことを、Red(赤い)Zeppelin(飛行船)だと思っている人が多いが本当は、Lead(鉛の)飛行船という意味だと説明していた。ウィキペディアによると、Leadをさ…

宮本武蔵は外道

早乙女貢の『実録・宮本武蔵』(PHP文庫)を読む。宮本武蔵に関するたしかな史料はほとんどないそうで、剣聖や求道者であったというのは作り話。本書は「殺人剣には、美などない」という立場から、そうした武蔵の偶像破壊を行っている。若い頃はただの乱暴者…

字幕とか

ハワード・ホークスの『赤ちゃん教育』をDVDで見る。字幕スーパーに、数箇所まちがいがあった。 恐竜の「肋骨鎖骨」ってなんだ? 標本があと「肋骨鎖骨」一本で完成となるというのだが、肋骨と鎖骨は、別のものだろ。 "intercostal clavicle" を調べると、「…

ホームドラマ

山田太一のシナリオ本『それぞれの秋』(大和書房・1982年・初版)を読んだんだけど、こんなシーンがあった。 ●風呂場 稔、入っている。ドアがあけてあり、麗子、ベラベラしゃべっている。稔、面白くない。 稔の声「ぼくが帰って来た時は、親父も兄貴も寝て…

変人になってください

村上龍の『オーディション』という小説がある。 これは三池崇監督で映画化されていて海外での評価が高く、雑誌「TIME」によると、ホラー映画の歴代ベスト25に選ばれております。 しかしまあ、小説のほうは、適当に書いたんじゃないかと思われるもので、たと…

アイドル学院

小田嶋隆の『人はなぜ学歴にこだわるのか』(メディアワークス・2000年初版)を古本で買う。「広末涼子と吉永小百合はどうしてこんなにも扱いがちがうのだろうか」 という章で、二人の比較から、山口百恵に話が及ぶ。 二人の中間の世代に属するアイドル、山…

ロング・グッドバイ

村上春樹・訳『ロング・グッドバイ』 レイモンド・チャンドラーの傑作ハードボイルド。『長いお別れ』という邦題よりはいい。 その構成を研究して(パクって)、『羊をめぐる冒険』が書かれたのは、わりと知られております。 あいかわらず売れているようで、…

新書まちがい探し

図書館にて、勢古浩爾『こういう男になりたい』(ちくま新書・2000年初版)を、パラパラと見ていたら、まちがいを発見。 いまの若いひとは知らないかもしれないが、官能ということでいえば赤座美代子の右に出る女優はざらにいない。いまでは画面で見ることが…

フェリーニの「崖」

フェデリコ・フェリーニの「崖」という映画をDVDで、見たんだけど、 その解説に、まちがいを発見。【この映画のストーリー】詐欺師のアウグストは、仲間と組んで詐欺を繰り返していた。神父に化けたアウグストは、貧しい百姓一家から献金をだまし取る。しか…

キャリーの血

たしか、由良三郎『ミステリーを科学したら』という本に教えられたと思うのだけども。 血液というのは、すぐに凝固するらしい。つまり、固まってしまうわけ。 当たり前といわれれば、そうだけど。血液の固まりぐあいを見て、刺殺体の、死亡推定時間がわかっ…

上から読んでも

今朝、メールボックスを開くと、「チケットぴあ」から、次のようなメールが来ておりました。 ちょっと笑ったので、そのまま掲載します。 このメールは@ぴあメンバーズの方にお送りしています。 【訂正とお詫び】6月23日(木)に配信いたしました、@ぴあメー…

皆様のNHKを、ギャフンと言わせてやりました

おれは、けっこう、ギリシャ悲劇とか、好きなんですよ。 NHK教育テレビの「芸術劇場」という番組があるんですけど。 この前の日曜日に劇場中継で、劇団ク・ナウカの『アンティゴネ』をやってたわけ。 「アンティゴネ」というのは、あのオイディプス王の娘…