憲法と天皇

 堀新『13歳からの天皇制』を読む。
 憲法天皇に関する条項は、いったいこれは何なのだろうか。
 天皇という存在が憲法によって規定されたのは、明治時代の大日本帝国憲法からであるが、これは第1条で「大日本帝国万世一系天皇之ヲ統治ス」と定め、第4条で天皇は国の元首であり、統治権を総攬すると定める。
 しかしながら、大日本帝国憲法第73条の憲法改正手続きによってできた日本国憲法によって、これらの条項は効力を失い、代わって天皇は日本国の象徴と定義された。
 そこで問題となるのは、日本国憲法が制定されたときに天皇だった昭和天皇以降の天皇はこの定義でよいとして、過去の天皇とはどのようにつながってくるかである。
 本書では次のように述べている。

 憲法学の世界では、「天皇とは、日本国憲法によって新たにゼロから作られた職である」という説も出てきました。もう少し正確にいうと、「今の日本国憲法に定めのある『天皇』とは、日本国憲法によって新たにはじめて作られた職である」ということになります。
 いきなりこの説を見てみると、あまりにもバカげたことを言っているように思えるかもしれません。一体どういうことなのかというと「天皇は日本国の象徴であり、日本国民統合の象徴でもある、日本国民の総意に基づいた世襲の職である」という憲法の定義を徹底して、日本国憲法が制定されたときに、初めて今の定義の意味での「天皇」の職が作られたと考えるわけです。
 そうなると、例えば明治天皇正親町天皇後白河天皇はどうなるのかといえば、それは同じ「天皇」という名称を使っていて、なおかつ現在の天皇とは血筋はつながってはいるが、先ほどの定義の「天皇」とはまったく別の存在だと考えることになります。
 帝国憲法の時代と日本国憲法の時代それぞれを生きた昭和天皇の場合は、同じ人物が、同じ「天皇」という称号を使い、同じ三種の神器を守り、同じ皇居にいたとしても、それぞれの時期に違う職に就いていたということになります。
(12頁-13頁より引用)

13歳からの天皇制

13歳からの天皇制

  • 作者:堀 新
  • 発売日: 2020/02/27
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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