笑われる側の論理

ボラット』というコメディー映画があって、しかしこれはユダヤ人差別であり、女性差別である。いくつか訴訟も起こされているわけだが、コメディーにマジになってどうする、という人もいる。冗談なら何でも許されるか、という問題はある。
 笑いとは権力関係である。笑う側はおもしろいが、笑われる側はおもしろくない。
 コメディアンは客から笑われているのだが、芸によって客を笑わせているのだと思うことによって、笑う側に立っている。したがってコメディアンには、笑われる側のつらさはわからない。
 しかしながら、たんに客から笑われているだけのコメディアンもいるので、これは両義的な存在である。

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