よー、そこの若いの問題

 竹原ピストルの『よー、そこの若いの』を聴いたが、この歌詞は奇妙である。「俺の言うことをきいてくれ」というのであるが、すぐに「俺を含め、誰の言うことも聞くなよ」というのである。
「きいてくれ」とあんたが頼むから聞いてやったのに、それが「俺を含め、誰の言うことも聞くなよ」というのであるから、いったいどうすればいいのか。
「俺の言うこと」とは、すなわち「誰の言うことも聞くなよ」というメッセージである。そのメッセージに従うなら「俺の言うこと」を聞いてはいけない。しかしそもそも「俺の言うこと」を聞かなければ、「誰の言うことも聞くなよ」というメッセージを聞くことはなかった。「俺の言うことをきいてくれ」と言われたときに、その頼みを聞くかどうかについては聞き手にはまだ判断する余地があり、俺の言うことをきいてもいいし、きかなくてもいい。ところが、うっかり「俺を含め、誰の言うことも聞くなよ」というメッセージを聞いてしまったが最後、「俺の言うこと」をきいたら「聞くなよ」と言われ、「聞くなよ」と言われてもすでに聞いてしまっているのであるから聞いたことを消すことはできず、「俺の言うこと」をきかずに逆らったことになり、しかし元はといえば「俺の言うこと」をきいたからこうなったのであり、もうわけがわからなくなって、聞き手はこのメッセージの矛盾から逃れられなくなる。
 不幸にもそうなってしまったときは、ひとまず深呼吸をして、「おまえは何を言ってるんだ」と唱えよう。
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