村上春樹にノーベル平和賞を

 村上春樹文学賞ではなく、ノーベル平和賞をもらうべきだと思うんだ。そしてその受賞挨拶で、「私が寝たい相手は女房だけです」と世界にむかって宣言する。
 ハルキストは、それこそを待ち望んでいるのだ。

 僕はぱちっと指を鳴らした。「すごい。まるで神の言葉みたいだね。光り輝いている。記者会見をやるべきだね。そして『私が寝たい相手は女房だけです』って宣言するんだ。みんな感動する。総理大臣に表彰されるかも知れない」
「いや、ノーベル平和賞だってもらえるんじゃないかな。なにしろ『私が寝たい相手は女房だけです』って世界にむかって宣言するんだぞ。普通の人間にちょっと出来ることじゃない」
「しかしノーベル賞をもらうとフロック・コートが必要になるな」
「なんだって買えばいい。全部経費で落ちる」
「素晴らしい。まさに神の言葉だ」
「受賞の挨拶をスウェーデンの王様の前でやる」と五反田君は言った。「皆様、私が今寝たい相手は女房だけです、ってね。感動の嵐だ。雪雲が割れて太陽が姿を見せる」
「氷が溶け、バイキングが平伏し、人魚姫の歌が聞こえる」
「感動的だ」
(『ダンス・ダンス・ダンス講談社・下巻・176頁より)

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