なぜ関根勤はバカみたいに笑うのか

 関根勤がいつごろからそのような芸風になったのかは知らないが、テレビの中で関根勤はいつも笑っている。それもわざとらしく口を大きく開けて手をパンパンたたいて笑うのである。
 関根勤はその長いキャリアの中で、欽ちゃんやタモリやさんまやたけしや志村などを観察しているうちに、気づいたのだ。なぜ彼らのたいしておもしろくない芸で、視聴者は笑うのか。
 それは、他の人が笑っているからである。
 人は、おもしろいから笑うのではない。他の人が笑うから、自分も笑うのである。だからテレビは「笑い屋」を使って、その笑い声を流すのである。関根勤は、それに気づいたのである。人を笑わせるのに芸などいらない。「笑い屋」になればいいのだ。
 これは、革命である。お笑い芸人は、その芸で人を笑わせているのだという思い込みを、否定してみせたのである。芸などいらない。バカ笑いを見せれば、それだけで視聴者は笑う。テレビに限らず、寄席や劇場や映画館で客が笑うのも、まわりの客が笑うからである。
 こういうことに気づいた芸人は他にもいるだろうが、やろうとはしなかった。これを認めれば、芸人としてのアイデンティティが失われるからである、しかし関根勤はそれをやった。たいしたものである。