ゴーストライターというので思い出すのは、津田信の『幻想の英雄』という本で、これは小野田寛郎のゴーストライターをしていた著者がその真相を暴露したもので、おれは学生の頃に読んで衝撃を受けた。
ネットで全文公開されている。
『幻想の英雄』の時も、ゴーストライターがその内幕を暴露するのはけしからん、という批判があったのだが、真実は明らかにされるべきである。
さて、佐村河内守の問題であるが、これはいまさら言っても「後出し」になってしまうが、NHKで見た時から、うさんくさいと思っていた。かといって被爆二世で耳が聞こえないという人を批判するのも、思いやりがないと感じていた。
そういうわけで、おれもいくらかだまされたくちだが、週刊文春による新垣隆の言葉、「あの程度の楽曲だったら、現代音楽の勉強をしている者だったら誰でもできる。どうせ売れるわけはない、という思いもありました」というのには、本物の音楽家としての矜持が感じられて痛快である。
さて、佐村河内守の記事に隠れてしまっているが、週刊文春(2月13日号)には、“薬害エイズの星”川田龍平とその妻の堤未果(ばばこういちの娘)のセレブ生活という記事が出ていて、彼らもまた「幻想の英雄」であったかと思うのである。